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灰色の羊  作者: 御目越太陽
第四章『灰色、同じ色』
25/38

4-1

 戦場に吹きすさぶ一陣の風が紅蓮のマントをはためかせた。空は漆黒の雲に覆われた不吉な曇天。辺りには討ち取った魔物たちの死屍累々が身動き一つ見せずまるで岩のように横たわっている。


 白銀の騎士、クォーター・ナイトは遠目にそびえる魔城を見つめると、地面に突き刺していたランスに拳を打ちつけた。


 実際の距離はわずか一里もないというのに魔城へと至る道は遥かに遠く険しいものだった。幾多の戦いを乗り越え数多の敵を倒しても一向に騎士団の進軍は捗らない。行く手を阻む魔法使いたちの度重なる妨害によって遅々として進まない作戦に、さしものナイトも焦りを覚えているようだ。柄に載せた手が小刻みに震えている。


 その時、隊列を整えた騎士団から最古参の騎士、オールドマンが進み出てクォーター・ナイトに進言した。


 準備、万端整いまして御座います。クォーター卿。


 一団の長は振り返りもせず、御苦労、とだけ呟いた。


 その様子に何事かを感じ取ったのか、オールドマンは長の側近くに寄ると、


 敵の数は着実に減っております。焦りは禁物ですぞ。


 と、老婆心ながら声をかけた。クォーター・ナイトは甲冑の中でかすかに苦笑し、突き刺していた得物を抜き放って騎士団に振り返ると、声高らかに檄を飛ばした。


 目指す魔城はもう目の前だ。立ちはだかる敵の手勢もあとわずか。我らに勝てぬ戦ではない。この上は見事姫君を救い出し、共に勝利を祝おうぞ。続け。


 ナイトの一声で騎士団は一斉に突撃した。対するは土の魔法使い率いる一団。両軍は草一つ生えていない殺風景な荒野で正面から激突した。


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