表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
5/51

孤独とは。

「退屈で仕方がないの。」

咲桜里が、メールを頻繁によこしていた。彼女も、俺と同じ、母親の再婚で、中途半端な家庭を持っていた。いつも、何かから、逃げている、似たような生い立ちが、俺らを、近づけていた。

「ねぇ・・。大翔?」

屋上で、さっきまで、吸っていたタバコを、もみ消すと、赤い唇を近づけてきた。

「二人で、しない?」

挑発的だった。

「よせよ・・。」

俺は、拒否した。あまりにも、俺たちは、似すぎている。咲桜里の孤独感を、理解はできるが、彼女に、同情もしなげれば、抱きたいとか、そんな気は、全くしなかった。彼女と、仮にそうなったとしても、傷の舐めあいになるのは、見えていた。惨めすぎる。

「あたしじゃ・・。嫌?」

「お前は、そんなんじゃない。」

いつも、互いの母親には、泣かされた。小さい頃から、咲桜里の父親は、よく変わった。一時は、離れたものの、この学校で、再会した時には、驚いた。無邪気で、可愛い子だったのに、咲桜里は、変わっていた。

「ふーん。いい方にとていいのかな?」

彼女は、何度も、カラーを繰り返し傷んでしまった髪をかきあげた。

「好きにしろ。」

俺は、携帯をポケットに入れた。

「何度も、メールよこすから、何かと来てみれば、そんな事か・・。」

咲桜里は、ふっと、笑った。

「そんな事じゃ、ないよ・・。」

自分は、関係ないとばかりに、遠くを見ていた。

「なんだか・・。寂しくてさ。」

また、携帯をいじっていた。

「誰か、来てくんないかな・・・ってさ。」

咲桜里にも、孤独が、強く残っている。俺と同じ・・。孤独。誰かに強く、愛されたいと思いながら、いざとなると、拒否してしまう。人を信じたいのに、信じられないでいる自分がいる。

「これるさ・・。」

可愛そうな咲桜里。妹のように・・。

「でも、おまえとは、出来ない。」

「大翔・・。」

怖い目で、俺をみていた。

「誰となら、できるの?」

「いないさ・・。そんな人。」

南から、乾いた風が、吹き抜けて行った。俺の心の中に、細い影が、すり抜けていった。

「いない・・。」

なぜか、あの人。かんなの後ろ姿が、よみがえっていた。



評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ