太陽の計画。
「似てるよね・・。」
霧が立ち込めていた。周りは、針葉樹の森に囲まれている。うっそうとした濃密な空気が当たりを包んでいた。
「あなたに、あった事はないのに・・。」
「いつも、意識していただろう?」
霧の中から、顔を出した線の細い男は言った。背も高く、肩までの髪は、少し、ウェーブがかかっていた。瞳は、カラーコンタクトを入れているのかと、思わせる程、深い緑色をしていた。
「同じなんだよ。俺達。」
紫苑だった。細く長い指は、繊細な絵を描くに適しているのだろう。そっと、大翔の頬に触れていた。
「似ているだろう?」
似てなんかいない。大翔は言いたかったが声にならない。
「同じ絵を描く訳だって、納得する日がくるよ。」
育った環境が似ている。それ以上に何が似ているのかわからなかった。
「お前は、俺だ。」
「違う。」
大翔は、首をふった。
「認めるんだ。」
「違う・・。」
大翔は、かぶりを振った。
「紫苑!」
誰かの声で。目が覚めた。秀香だった。
「あぁ・・。」
気がつくと、病院のベッドの上だった。無機質な蛍光灯の光は白々しい。
「うなされていたようだけど・・。」
「うん・・。」
秀香は、ペットボトルを差し出した。
「飲んで。」
「ありがとう。」
大翔は、口にした。
「頼まれた事なんだけど。」
秀香は、誰もいないのを確認して、口を開いた。
「何人かは、集めたわ。腕が良さそうなの。」
秀香は、にっこり笑った。
「いくらでも、力になるわ。」
「ありがとう。秀香。絶対、力をつけるよ。」
「あなたなら、大丈夫よ。」
ベッドにそっと、腰を落とした。
「本当に賞賛されるべきは、あなたなの。自分の力を取り戻すだけよ。」
「自信はある。」
大翔は鼻をならした。
「絶対、買って。そして・・。」
「迎えに来るから。」
大翔はそう、秀香に呟いた。秀香と大翔は、何かを計画しているようだった。