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星ふる夜に・・・。

真冬の星は、怖いほど綺麗だった。どうしても、かんなに渡したいものがあった。

「待ってるから・・。」

紫苑は、そう伝えた。

「でも、いつ、帰れるかわからない。」

かんなは、答えた。光樹との約束があった。紫苑への、気持ちと光樹への気持ちは同等だった。紫苑のもとへと行きたい。そう思いながら、秀香への遠慮があった。

「俺たち、付き合ってるんだよね。」

優しい光樹の言葉を否定できなかった。

「そう・・。よね。」

かんなは、答えた。

「明日は、イブはどうしてる?」

当たり前のように、光樹は聞いた。

「来るよね?」

誘われた。

「えぇ・・。」

消え入りそうな声で答えた。紫苑との約束があった。

「いろいろ・・。用意してるから。」

ずーっと、光樹との約束を断っていた。嬉しそうに話す光樹の顔に断れなかった。

「行くから・・。」

紫苑とは、昨日、つまらない焼きもちで、喧嘩したままだった。でも、以前から、一緒に過ごす約束はしていた。

「あの・・。」

紫苑は、待っている。

「何?」

光樹は、無邪気な顔で、振り返った。

「なんでも・・。」

ない。かんなは、思った。紫苑が、待っていてくれる保証はない。彼は、プライドが高い。きっと、秀香との、焼きもちも、光樹との事も許してくれない。待っていてくれるはずがない。携帯のメールも、何も、答えてくれない。

「行くから。」

そう答えてしまった。

「約束するから。」

イブには、渡したいものがある・・。

紫苑が以前から約束していた日。かんなは、光樹の家に向かっていった。真っ青な、星の綺麗な夜だった。

**********************************************

星は、どこまでも、綺麗だった。雲のない分、月が煌々とし、空気が澄みきっていた。

「寒いな・・」

紫苑は、月夜の下にいた。どんなに、待っても、かんなは、待ち合わせの街角に姿を現す事はなかった。吐く息が白い。

「そうだよな・・。」

付き合っているのかどうかわからない。二人。逢うと、喧嘩してばかり、気持ちを試す事ばかりだった。だけど、キャンパスの上では、互いに素直になれた。

「もう少し、俺たちには、時間が必要なんだ・・。」

光樹が言った。互いに競いあった友。

「だけどさ・・。」

時間も過ぎ、紫苑は、用意していたワインの、栓を開けた。雑にあけた開けたせいで、持っていた花束に少しかかった。

「時間がないんだ・・。」

星がきれいだった。一人で、口にしていると、無性に、かんなの絵がみたかった。癒される人の絵。

「かんな・・。」

紫苑は、凍てつく寒さの中、アトリエを目指して歩いて行った。

「声がききたいよ・・。」



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