表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
17/51

迫る時間・・・。

大翔の様子が、少しずつ変わっていくのを、咲桜里も、敏感に感じとっていた。それが、かんなのせいである事は分かっていた。

「最近、真面目の、授業うけるのね・・。」

サボる事もなく、授業に出る大翔の背に話しかけた。

「どおいう心境の変化なの?」

「心境?」

大翔は、教科書片手に、振り返った。

「瞑想だよ。」

「瞑想?」

「考え事するのに、いいんだ。イメージを考えるのに、邪魔が入らない。」

「なんの?」

再度、聞き返したが、もう、大翔は、教室に戻って行っていた。

「絵だよ。」

変わりに、答えたのは、大翔のクラスの歳賀だった。

「あいつが、絵にはまるなんて、思わなかったな。」

大翔とは、気があわない。

「いつまで、続くかって思ってみてますよ。って、言っても、僕には、興味がないですけどね・・。」

「とか、何とか、言って、張り合うくせに!」

「僕が絵を?まさか・・。止めてください。絵では、食べれませんから。」

面倒臭そうに、メガネをかけ直すと、咲桜里の肩を叩いた。

「いつまでも、関わっているとロクな事ないですよ・・。」

「ふん。」

咲桜里は、鼻で笑った。

「あなたといるより、マシだけど。」

「僕もあなたは、ごめんですよ。」

大翔の背を目線の先に追いながら、咲桜里は、背伸びした。大翔は、自分から、どんどん遠くになっていくのを感じた。自分と、似た環境で、育ち、一番分判り合えると思っていた。それが、最近、そう感じていたのは、自分だけであった事に気づいてきた。

「大翔・・。」

大好き。そう思いながら、少しずつ離れていくのを寂しく感じるのだった。きっと、あの人が、現われてから・・。年も上のかんなへの焼きもちを感じ始めていた。

**********************************************

かんなは、あれから、アトリエに行かないでいた。秀香に、絵を描かせたい為に、大翔を行かせたものの、自分自身は、描けないでいた。代わりに、秀香が、描くことが出来れば・・。足は、すっかり、アトリエにも、向かず、ずっと、図書室にこもったままだった。

「ずっと・・。顔出していないんじゃない?」

耳元で、ささやく声が聞こえた。

「えぇ!」

声をあげたので、一瞬周りの生徒が、かんなの顔を振り返った。

「すみません・・。」

周りに軽く誤った。

「あの・・。」

かんなは、図書室から、出るようサインを送った。

「先輩・・。」

どうして、ここへ?そう言いたかった。

「久しぶり。」

笑った青年は、かんなより、ずっと、背が高かった。紫苑よりも、一回り大きいのに、凄く、細く見える。

「光樹先輩・・。」

目が合わせられなかった。

「もう、描かないなんて、言わないよね。」

紫苑の友達。何もかも、知っているはずの人。

「描かないんじゃなくて、・・」

言おうとして、止めた。言ってしまう事で、秀香を裏切るような気がしたからだ。

「描いてよ・・。もう、いいんだから。」

「わかってます。」

まだ、紫苑の幻影から、抜け出ていない。

「じゃ・・。」

気まずい。

「用事があるので・・。」

かんなは、その場から、立ち去った。彼の前にいるのが、嫌だった。現実を突きつけられるような気がしたのだ。

「紫苑は・・。」

かんなは、腕を抱きしめた。

「自殺したのに・・。」

まだ・・。

「抜けれない。」

秀香がそうなの?

「違う。」

自分。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ