1−7 印象操作
「そうだ。作成者は、画像を合成を行ったが、ウォーターマークの存在まで気にしてなかったのだろう」
「確かにこの画像は合成されたものだったってことね。でも画像加工のことは、もう昨日のパパの話でわかっていたことじゃない」
「昨日の段階では、あくまで推論だ。これで確実に合成された写真だということが証明できる」
「うん、そうなんだけど…」
「わからないか?紬。炎上の大部分は、偽の情報を信じた大勢の人によるものだ。元情報が嘘だと分かれば、鎮火するのも早いじゃないか」
パパの言葉に、紬は息を飲んだ。
たった一つの証拠が、これだけの騒ぎを一瞬でひっくり返す。
今まで私は、パスワードや暗号化がセキュリティの鍵や盾だと思っていたけど、違う。
正しい情報と信憑性。それが今回の鍵だ。
「そして自分たちが偽情報に踊らされた。悪いのは偽情報を作った人だ。自分たちが被害者だという意識を植え付ければ」
なるほど、敵の敵は味方ってことね。あれ?この意味だっけ?
「でもそんなにうまくいく?結構盛り上がっていたけど」
「もちろん、これだけじゃない。もう一つの手を打つよ。それには七香ちゃんの協力が必要だ」
パパがイタズラっぽい顔で笑った。同時に七香のはしゃぐ姿が話の頭に浮かんできた。
いつだってトラブルメーカーだけど、七香の『学校内で知らない人はいないという顔の広さ』は『インテリジェンス(情報収集能力)』の最大の武器だ。
七香が駆ける先には、必ず誰かとのつながりがある。
あーあ、「セキュリティ探偵!」って言って茶化してくるんだろうな。今度は校内に言いふらさないでほしい。
私は明日起こるであろう、七香の反応を想像して、ちょっとだけ憂鬱な気分になった。
<つづく>




