1−3 炎上騒ぎ
「紬、紬、ちょっと聞いて、咲希ちゃん学校に来ていないんだって」
「咲希ちゃんって?」
七香がいつものように校内の噂話を拾ってきて教えてくれた。
咲希ちゃんというのは今年入ってきた1年生で、まるで小学生のような可愛らしい子らしい。
「そんな子が、なんで学校に来れなくなったの?いや、そもそもなんで七香がそんなことに首突っ込んでんのよ」
「それはそれで…とにかくその原因というのが、どうやらチャットでのいじめらしいの」
ああ、そういうことね。
学校内には、非公式のチャットグループが様々存在し、その中でトラブルになることも多いと聞く。ホントみんなしょーもないことが好きだね。
「で、なんで七香が絡んでんのよ?」
「佐々木先輩が原因みたいなの」
あ、推し活ね。
「ってか!先輩の私服、青いパーカーらしいの!あー尊い!その情報こそ、私の命綱!」
いや、その情報こそいらない…
「つまり、七香の憧れの佐々木先輩が絡んでいるから、問題を解決して佐々木先輩と話すチャンスを狙おうってことね」
「ち、違うって!佐々木先輩は関係ない…って言ったら嘘になるけど!でも、咲希ちゃんがマジで可哀想なんだって!ね、紬、助けてあげようよ!」
「で、佐々木先輩がどう絡んでいるの?」
七香は自分のスマホを見せてきた。そこには見るに絶えないような罵詈雑言の嵐が、その咲希と言う子に対して向けられている
「これはひどいね。。てか、なんで七香もそのグループに入ってるの?」
「これ?推し活グループだから、とーぜん!」
「呆れた。ってかさ、あんたもイジメの共犯になっちゃうよ?」
「えへへ、私、見る専だから。それに情報収集には書かせないでしょ?」
「でさ、これが問題の投稿なの」
そこには、部活帰りの佐々木先輩と楽しげに談笑する女子。いかにもな青春の1ページって感じのエモい写真だ。
「これが咲希ちゃん?」
「そう、だからチャットが荒れているってわけ」
「くだらない、そんなの放っておいていいんじゃない?」
「でも、この写真、偽物らしいの。咲希ちゃん、こんな写真撮っていないし、そもそも佐々木先輩と二人で会ったこともないんだって」
「つまり、偽造された写真ってことね?」
私はその写真を、もう一度見た。
どこにも不自然なところはなく、ただただ男子学生と女子学生のデートシーンの写真にしか見えなかった。
今回は、その自然な点が問題になっているみたいだけどね。
<つづく>




