1−1 やまない通知
山村咲希は、机の前で大きく伸びをして、深呼吸をした。
「あー」
わざと声を出してみる。
明日も朝から小テストがある。高校に入ってから小テストの連続に、いい加減うんざり。
いま何時だろうか?咲希は、スマホに目をやった。
「え?何これ…」
ー新着メッセージ289件ー
咲希が机に向かっていたのは、精々1時間ぐらい。その間に300件近い通知がくるなんて!
通知の元は、グループチャット。これには咲希が同じ学年の仲良し女子グループで、先輩女子も少々入っている、「推し活グループチャット」だった。
プレビューに表示される内容。目が釘付けになった。
そこにあるのは、全て自分に向けられた罵詈雑言。
「ちょっと可愛いからって、調子に乗ってる」
「先輩、大学生活始まって忙しいから推し活中断していたのに、抜け駆けなんて!」
「先輩と二人っきりで会うなって、1年生のくせに生意気」
「今度学校にきたら無視無視」
え?これ私に?
「嘘、なんで……私は、何もしてないのに」
咲希はメッセージを遡って見ていくと、ある写真が投稿されているのが目にはいった。
学校の女生徒の憧れの目、バスケ部の佐々木先輩。
その横で、楽しそうに笑っている私の姿。
「うそ?!何これ?!」
その写真は、自分が、推しの先輩とデートをしている自分。そんなのが、佐々木先輩推し活グループに投稿されたら・・
ピコン!
スマホの着信音がなり、メッセージが表示された。
「生意気な1年生を、みんなでシメるよ!明日の昼」
そこにはホラー映画のワンシーンのような赤黒い悪魔の画像が添付されていた。
咲希は手にスマホを握りしめたまま、膝から崩れるように座り込んでしまっていた。
<つづく>




