1−10 鎮火
「炎上屋?そんな人たちがいるの」
「企業や思想家などのSNSを炎上させる商売は、あまり表立ってはいないが存在する。何かの思想があり、金を出しても実行したいと思えば、それを商売にしようとする人はどうしても存在する」
「商売で炎上って…怖いね」
「組織的に炎上を狙ってくるから、鎮火の手間は今回の比ではなく困難だな」
「そうしたらどうするの?」
「残念ながら手はない」
「え、そんな..」
「ただ炎上を商売にする人がいるってことは、つまり」
「つまり?」
「鎮火を商売にしている人もいるってことだ」
「え?炎上から鎮火までやってくれるの?」
「同じ人がやるわけじゃない。炎上しているSNSなどを鎮火するサービスを提供している会社がある」
「へえ、どうやって?」
「手順はほぼ今回と同じだな。嘘の情報であれば正しい情報を出す。正しい情報であることを投稿する。ソースを提示する。権威を使う。誹謗中傷の場合は開示請求を使う、ってところか。もちろんいつもうまくいくとは限らないが」
「へえ、パパやったことあるの?」
「いや仕事ではないな」
「仕事では?」
「昔ある掲示板で、国家間のプロパガンダに巻き込まれかけた時、正しいエビデンスを出したぐらいだな」
パパ、一体、何しているのよ…
私は、この普段何をしているのか予想がつかない父親を見上げた。やっぱりフォルダー検索してみるかな?
見たいような、見たくないような。
<心の枷 完>




