第95話 東門を奪還せよ!
途中、襲い掛かってくる魔物どもを斬捨てつつ、村の東部を目指す。
ラムの『俯瞰』によると、村の東門からの流入が激しいという。
まずは東門の奪還から始め、村への流入を防げば、内部の魔物どもは徐々に数を減らすのではないだろうかと考えたトールは、ジュエレーとラムの2人にもそう伝えると、前線を切り拓くために剣を振るった。
確かに魔物どものレベルはさして高くない。
トールが初級冒険者の頃に散々に戦ってきたゴブリンやコボルドがほとんどで、たまにオークが混じっているといった具合だ。
今回の『レイド』で招集されているのは、鋼鉄級冒険者以上のものたちだから、慌てずに戦えば、自ずと道は拓けるはずだが、それがなかなかに難しいのだろう。
とにかく数が多く、斬り捨てても斬り捨ててもあとからどんどん湧いてくるようで際限がないように思うのだ。
自然、体力も気力も尽き果てれば、諦めの選択肢が降ってくる。
「ラム! ジュエレー! ここだったら『出し惜しみ』はしなくていい! 周囲に冒険者はほとんどいないだろうから――!」
ラムとジュエレーの本当の実力を知るトールは、二人にそう告げた。
「見えたぜ? あれが東門だろ?」
ジュエレーが反応し、2人に向かって叫ぶ。
トールたちの前方に、それほど高くない楼閣の影が見える。ただ、そこまでの間に犇めいている魔物どもの数も半端な数じゃない。
とにかく斬り捨てつつ前進してゆくと、東門まであと十数メートルと言うところまで辿り着いた。
「やっぱり、ここから入ってきてる数が一番多いですね。それにしても、村の外まで含めたら、一体何匹いるのでしょう?」
「さあな。言ってても始まらん。とにかく東門を取り返して拠点を構築しよう。そのうちあとから来るどこかのパーティに任せて、その後はこの先にあるダンジョンまで圧し進むだけだ」
来る前に、レイラさんから聞いていた『原発地点』は、村の東側200メートル先に入口があるとのことだった。
この大群が湧き続けるのであれば、根源たるダンジョン・ボスを討ち果たすしか止める方法は無いのだが、過去の記録によれば、永久に湧き続けるということは無いらしい。
「レイラさんの話だと、魔物の出現には波があるらしい。ラム、相手の様子をよく見ていてくれ。東門の奪還後、ある程度間引いたら、その波をついて一気にダンジョンまで突き進む」
トールが手当たり次第に目の前の魔物を斬捨てつつラムに告げる。
その後ろで詠唱していたラムが、これに応じる前に二人に声を掛けた。
「――特大のをお見舞いします! 射線を開けてください!」
言われたトールとジュエレーが左右に分かれてラムの魔法の射線を開ける。
「アルティメット・ファイアー・ボール!!」
ラムの前に3メートル以上は在ろうかという特大の火球が生成され、それがトールとジュエレーの間を突き抜ける。
どどどどどーん!!
という衝撃音とともに火球は地面の上を走り、そこにいた魔物どもを瞬時に灰へと変えてしまった。
「今だ! 進むぞ!」
言いつつ、トールが一気に駆け出すと、東門のすぐ目の前まで到達する。
門の楼閣に駆けあがり、その上にいた魔物どもを斬捨てると、ラムとジュエレーも後を追って駆けあがってきた。
これで、ラムの魔法の射線が通る。
「アイス・バレット!!」
ラムは楼閣に上がるなり、すぐさま魔法を放つ。
まずは、門前に群がっている魔物を排除し、そこに二人が仮拠点を構築する算段だ。
ずばばばばばっ!
と、ラムの前に構築された魔法陣から大量の氷の弾丸が発射され、門の前の魔物どもに降り注ぐ。
その一粒一粒が魔物の頭を正確に射抜き、魔物たちは為す術もなく、ばたばたとその場に頽れていった。




