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第92話 アウト・ブレイク


 朝――。

 トールたち3人がいつものようにレドラトーの冒険者ギルドに向かうと、何やらかなりあわただしい感じを受ける。


 ホールには冒険者たちがあちらこちらで集団を作り、がやがやと話し込んでいるし、受付カウンターにも群衆が出来ている。


 受付嬢たちがせわしなく動き回っているなかに、レイラさんを見止めたトールは、かろうじて声を上げて呼び止めることに成功した。


「レイラさん! 一体何が起きてるんだ?」

「あ、ああ、トールさん! 『アウト・ブレイク』です!」


「なんだって!? 近いのか?」

「ヨーレン村近郊の遺跡ダンジョンからのようで、ヨーレン村が襲撃を受けました。すでに第3報が入ってますが、状況はかなり厳しいようです」


 『アウト・ブレイク』――。


 突発的にダンジョンボスの力が強大になり、急激に大量のモンスターが生成され、ダンジョン内から溢れだし、周辺地域に危害を及ぼす状況に陥ることを言う。

 これが起きる原因や構造は未だ解明されていない。


 通常時は、ダンジョン内のモンスターが増えすぎないよう、普段からギルドがクエストを発信し、冒険者たちに間引きさせているのだが、突発的に起こるこの『アウト・ブレイク』だけは予測のしようがなく、事後対応するしか方法がないのが現状だ。

 

「そうか。それで、『第一陣』はもう発したのか?」


 こういう場合、即刻冒険者たちを搔き集めて現地へ向かわせるのだが、『第一陣』は、報告を受けたその時にその場に居るもので対応することが慣例となっていることを知っているトールは、それを確認したのだ。


「はい。ギルマスのほか、職員6名と居合わせた冒険者6名の13人が向かいました。出発したのは30分ほど前のことですから、そろそろヨーレン村に到着する頃ですね」 


 ギルマスが直々に向かうというのは相当に深刻な状況と言える。

 冒険者ギルドのギルマスは大抵『黄金級冒険者』であるか、それと同等の戦闘力を持つものであるからだ。


「それで、第二陣は?」

と、トール。

「これから出発するところです。すでに編成は終了しています。8パーティ27人の『レイド』が編成されました」

と、レイラさんが応じた。


「そうか。じゃあ、つぎは第三陣だな――」

「はい。トールさんも、参加してくださいますか?」


「俺も参加できるのか?」

「もちろんです! というより、本当はご自宅まで呼びに行こうかと迷ったぐらいですが、こちらも忙しくてここを離れられなかったので――」


 そうしてトール以下3名は、ヨーレン村救出レイドの『第三陣』に加わることになった。


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