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第9話 スライムの特性②


 ラムには一つの野望があった――。


 ラムが自我を認識してからすでに数百年は過ぎている。


 自我が芽生えた初めの頃は、ただ襲い来る暴食の飢えに苦しみ、ひたすらに食べ続けた――。


 食べたものは、それこそ、「なんでも」だ。

 食べられるものは何でも食べ、自身の魔力の枯渇を防ぐことに専念した。


 そうしているうちに『知能』を()()した。

 どうすればより効率的に、より短時間で、より少ない食事回数で枯渇する魔力を補うことができるようになるか。

 そうして試行を重ねて行くことができるようになる――いわゆる『学習』だ。

 結果、様々な能力を獲得してゆき、ついには『言葉』を()()した。


 『知能』、『学習』、『言葉』――。


 こうした能力を()()してゆく中で、『疑問』が浮かび上がってくる。



『どうして、人族と魔族は争わなければならないのか――』と。



 ラムは、ここまで生きてくる中で、様々な状況を目にしてきた。

 

 自我が芽生える前のスライムが単純知能『本能』をもつだけの大きな魔物にくいつくされるところを。

 人の村が魔物たちの群れに蹂躙されるところを。

 人の反撃により、魔物の群れが一匹残らず駆逐されるさまを。

 

 そして、幾度も繰り返される『勇者』と『魔王』の闘争を――。


 ある代の『魔王』はこう言った。


『人族と手を取る? それはない。奴らは下等で愚鈍だ。支配対象ではあっても協力対象ではない』と。


 また、ある代の『魔王』はこうも言った。


『人族の本質は『破壊』だ。一時的に協調しても、それは仮初のものに違いない。奴らは必ずまた牙をむく』と。


 そして、そのような答えを返していた『魔王たち』も、結局は『勇者』によって倒されることになる。その度に魔物界は混沌にまみれ、やがて一人の『魔王』が生まれるまで数年数十年の時を必要とするということを繰り返す。


 この数年数十年間、魔物界は統制が取れず、魔物たちにとっては世界中の全てのものが『敵』となる時間が続く。

 弱肉強食の時の中で、台頭してきた強力な力を持つ数人の『魔将』たちのなかから、やがて『魔王』が生まれ、そして統制が訪れると、今度は人族に対して侵攻を始める『魔王軍』が編成され、最終的には『魔人戦争』が始まり、『勇者』があらわれ――。


 そして、最後は()()『勇者』が勝利する――。



 ラムは『思考』する。


 では、()()()『勇者』と『魔王』の()()()()()()、どうなるのだろうか――。

 一人の人物が両方を兼ねれば、互いに争い合うことは無くなるのではないだろうか、と。


 ラムは自身の特性、『()()』を利用してそれが出来ないかと考えた。

 そうしてこれまでに何人もの『勇者』を『浸食してきた(取り込んできた)』のだ。


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