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第85話 ランクアップで自分へのご褒美を


「おめでとうございます! これで3人とも晴れて『白銀級冒険者シルバークラス』となりました!」


 冒険者証の精査を終えた受付嬢のレイラさんがそう言って明るい笑みを投げてくれた。


 トールたち3人は【レイジ・オーク・ジェネラル】の討伐クエストを終えて、冒険者ギルドへと帰還している。


「ありがとう。レイラさんのおかげだ。本当なら数か月かかるところをたったひと月で踏破できた。レイラさんのクエストの選定とスケジューリングがなければ、到底、この早さで昇格なんてできなかったってわかってる」


 トールは周囲の冒険者たちの話から、自分たちがこなしてきたクエストが昇格への『最速ルート』だと聞かされていたのだ。

 しかし、最速ルートだけあって、どのクエストも難関クエばかりだから、それをこなし続けているお前たち3人はとんでもない奴らだと何人もの冒険者に言われ続けてきた。


 トール自身は、もし彼らの言うとおりなら、それは自分の実力というよりむしろ、2人の仲間の恩恵が大きいことを理解している。


「――さて。それでは次は、『黄金級ゴールドクラス』目指して邁進していきましょう!」

と、レイラさんが意気揚々と宣言する。


「ああ、頼む。けど、少し休息をとりたい。これまでひと月、本当に休みもなかったから、2人にも少し休暇をやりたいんだ。2、3日でいい。レイラさん、どこかゆっくりできるいいところ、知らないか?」

と、トールはすかさず制止する。

 レイラさんの言葉に即座に反応できたのは、あらかじめそのように考えていたからだし、レイラさんの性格的に、すぐに『黄金級』目指したスケジュールを組み上げるだろう、いや、もう既に用意しているだろうと予測していたからだ。


「――あ、そうですね。でも、3日だけですよ? それ以上の足踏みは許しません」


 レイラが、腑に落ちたふうを装いながらも、容赦のない視線をトールに向かって向けてくる。


「うっ……。わ、わかったよ。3日でいい。頼むよ」


 トールはやや気圧されながらもなんとか3日の『休暇申請』を取り付ける。


「ふふふ、冗談ですよ。どうぞゆっくりしてきてください。私もその3日の間に少しお休みをもらうことにしますから――。いいところといえば……、そう言えばそろそろ、このレドラトーからさらに東へ一日の場所にあるラジュランジ村で、キングス・チェリーの食べ放題企画が行われる頃だと思います。――あ、ありました。これですね」


 そう言ってレイラさんは受付棚の下から何やら一枚のチラシを取り出してカウンターの上に載せる。


「キングス・チェリーの食べ放題だって!? ()()、キングス・チェリーが食べ放題って本当か!?」

と、食い気味に身を乗り出すジュエレー。

「キングス・チェリーは、疲労回復や魔素浄化の効能があると言われていますね。休暇にはちょうどいいかもしれません」

と、ラム。


 トールも木こりだったから、木の実や果実についてはいくらか知識がある。

 キングス・チェリーは、この国でも高級食材の部類に入り、実ぶりが大きく、酸味が強いわりに糖度も高く、王室御用達食材でもあると聞いたことがある。


「きまりだな――」


 トールは二人にそう言って微笑んだ。


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