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第84話 トールたちの「現在地」


 青狼歴648年も夏に入ろうとする頃――。


 トール、ラム、ジュエレーの3人がレドラトーを初めて訪れてから1カ月ほどが経過した。


 日々順調にクエストを消化し、鋼鉄級スチールクラス冒険者としての実績を積んだトールは、この日、白銀級シルバークラスへの昇格クエストに挑んでいた。

 

 遅れて冒険者登録したラムとジュエレーの二人も、早々に鋼鉄級スチールに昇格していたため、トールの方が先に昇格クエスト受注の規定に達したが、あとの二人もほどなく達するだろうということで、ラムとジュエレーの二人が規定に達するのを待って3人同時に昇格クエストを受注することにしたのだった。


「トールさん、そいつは一人でやってください。あとの取り巻きは、私たちが受け持ちます」


 ラムがトールに向かってそう指示した。


「『昇格クエ』とはいっても、そこは変わらないんだな――」


 トールはラムにそう返す。


「そりゃそうだろう? 私たちがやるんだったら、わざわざトールと一緒に居なくたっていいんだからさ?」

と、食い気味に言い放ったのはジュエレーだ。


 これまでひと月の間、ずっとこの形式で戦ってきた。


 基本的には一番の強敵にトールが一人で当たり、あとの取り巻きの殲滅はラムとジュエレーが行う。


 ダンジョン探索中も、ボス部屋攻略も、基本的にはずっと一緒だ。


 もちろんだが、トールが「その強敵に集中するため」に二人が取り巻きを受け持ってくれるというわけではない。


 むしろ、その逆だ。


 トールは常に「強敵と対峙しつつ、全体を見るように」とジュエレー『師匠』からきつく言い含められている。


 この昇格クエストの最終難関、『レイジ・オーク・ジェネラル』の討伐の段においても変更はないらしい。


 普通にラムとジュエレーが戦ってくれるのなら、トールは、全く周囲を気にする必要はないのだが、二人はそれほど甘くない。


 ラムとジュエレーは示し合わせたうえで、「手抜きをする」のだ。


 不測の事態に備えていつでも行動できるようにという訓練であり、トールの視野と判断能力向上のためにやっているものだが、そのタイミングが、結構、エグい。


 トールは目前のオーク・ジェネラルと切り結びつつ、二人が繰り出す『罠』に対応しなければならないのだ。


 がきん! と、オークジェネラルが放った横薙ぎを、トールは『ラムの剣』一本で受けきると、反撃に転じようとした瞬間――。


「トール! 救援だ」


 と、ジュエレーの『要望』が降りかかる。


 繰り出す予定の袈裟切りをキャンセルして、ざざっと飛び退るなり、ジュエレーの目前に立っていた『取り巻き』の雑魚オークを一刀に伏す。


 すると、オークジェネラルはトールから攻撃対象タゲをラムに移し、突進を開始した。


「トールさん! きましたよ!」


 分かってる。


 ラムの声が発せられる頃には、トールは既に移動を開始しており、ラムに向かって突進中のオークジェネラルの背に向かって斬撃を放った。


 ズバッという手ごたえ。


 オークジェネラルの背がざくりと裂けた。


『ブモォォォオオオ!!』


という雄たけびと共に、オークジェネラルが反転して、トールを横薙ぎに切りつけようと大斧を旋回させる。


 トールは落ち着いて跳躍すると、大斧の刃筋の上を飛び越え、そのままジェネラルの眼前に迫り、唐竹割に両手持ちにした『ラムの剣』を繰り出した。


 その剣は見事にオークジェネラルの頭蓋を捉え、ばききっという感触をトールの両手に伝えながら、脳天から眉間、喉、胸のあたりまで到達した。


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