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第67話 訓練終了


 次の日からみっちりと訓練課程に励み続けたトールだったが、その上達ぶりは凄まじいものだった。


 初めの頃はただ、力任せに剣を振っていたことを自覚し、型が身に馴染むまで2日ほどを要したが、その後はぐんぐんと成長し、日を追うごとに自分でも感じられるぐらいに剣と体の捌きが上手くなっていく。


「――まったく、本当は基礎訓練課程ではここまで教えないんだが、お前の上達の速さが異常だから、余計に訓練内容が増えたじゃねぇか」


 ギルマスのカインがトールに向かってそう吐き捨てた。

 しかし、その表情はむしろ、満足げに和らいでいる。


「ありがとう、カイン。自分でもわかるほどに上達するなんてことは、初めての経験だ。カインの教授がよかったって証だ」


 トールはカインにそう告げると、恭しく頭を下げる。


「じゃあ、追加の受講料を……って、冗談だよ。なんて顔してるんだ、冗談だって言ってるだろう」


 カインの言葉に思わずぎくりとしたトールの表情があまりにひどかったのだろう。実際のところ、訓練課程中にはクエストを消化できていないため、持ち合わせがかなり乏しくなってきている。


「――脅かすなよ。持ち合わせがないから、借金しないといけないかもっておもったぞ?」


 そう言ってトールはほっと胸をなでおろす。


「――ところで、ラム。お前もいつもトールについてくるが」

と、カインは今度はラムに問いかける。

「お前たちはそのう、恋人同士――とかなのか?」

 

「「え!?」」


 と、トールとラムの声が重なった。が、トールが反応するより早く、ラムがすらりと応じる。


「いえ。現在のところはそういう関係はありません。もちろん、トールさんは私にとって非常に重要なパートナーですが、それは冒険者と付添人という関係において、ということです。私の役目は、トールさんの支えとなり、成長を支援することです」


 ラムの答えは妥当なものだ。トールもそのようにしか考えていなかった。


「――そうか。ああ、別に何ということは無い。ただの興味の範囲だ。ところでトール。お前の力量であれば、もう、このあたりのクエストじゃあ、もの足りないだろう。いっそ、拠点を移すのはどうだ?」


 カインがトールに向かってそう提案した。

 トールもラムからすでにそういう提案を受けていたから、すでに心は決まっている。


(――というか、ラムは「魔物スライム」だしな……。まてよ? そもそも、「魔物」と人が「つがい」になんて、なれるのか? 考えるのは、やめよう……)

と、思考を振り払うとトールはカインの問いに答えた。


「ああ、訓練が終わったらって、考えていたんだ。レイラさんからは二つほど候補地を上げてもらったんだが、取り敢えず、東のレドラトーを目指そうかと思っている」


「東か――。まあ、いいんじゃねぇか。あそこのダンジョンは少しレベルが高いが、お前の力量ならやれるだろう。報告が上がってくるのを楽しみに待ってるぞ」


 それがカインの送り言葉だった。


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