第58話 訓練開始!!
「ええっ!? 基本戦闘訓練課程、ですかぁ!?」
ギルドの受付カウンターの中で、レイラは思わず叫んでしまった。
「ああ、たしか、受講するのに制限や資格は無いはずだよな?」
と、トールさんが返してくる。
その通りだ。
特に資格や制限などは設けられていない。つまりは、受講料さえ払えば誰でも受講できるという建付けになっている。いるにはいるのだが――。
「でも、あれは基本的に、駆け出し冒険者の為のシステムですよ? すでに実績を充分に積んでいるトールさんには必要だとは思えませんが――」
「いや、俺はまだ『駆け出し』だと思っている。ぜひ、受けさせてもらいたい――」
レイラは少し困った。
本人が望み、料金も支払うというのだから、そこは問題はない。受講してからやはり無意味だったといって料金を返金しろなどと言われても突っぱねるだけだ。
しかし、問題は、「受け入れ側」の方である。
トールさんほどの実績をもつ冒険者を「指導」できる教官となれば、それなりの階級の冒険者があたらなければ、こちら側が大怪我では済まない。
「え、え~とですねぇ……」
と、レイラが躊躇している時、背中からギルマスの声がした。
「いいじゃねぇか。受けさせてやれ」
「あ、ギルマス。でも、教官が――」
「俺が付く」
「え? ええっ!? ギルマスがですか?」
「ああ、俺も最近体を動かしてなかったしな。ちょうどいい」
「いいんですか? 知りませんよ? どうなっても」
「大丈夫だ。俺もアドルフィーネの話を聞いて少し血が熱くなってる」
「何カッコつけてんですか。そんなセリフ似合ってませんからやめてください。いいんですね?」
「ああ」
「わかりました――。あ、トールさん、では、受講料として――」
レイラは心の中で、本当にどうなっても知らないんだからと思いながら、トールの基本戦闘訓練課程受講の受付を済ませた。
数分後――。
ギルド庁舎横にある訓練場にて。
ばきぃ――!!
けたたましい衝突音が響き渡った。
木剣の柄だけをカインの手に残して、その先は地面にボトリと落ちる。
これで、もう4本目だ。
「あ――。すまん、また、力が入りすぎた――」
目の前のトールは申し訳なさそうに頭を掻いている。
全くなんて膂力だ――と、カインは呆れかえるしかなかった。これほどのパワーを備えているものなど、そうそう目にすることは無い。単純に、膂力だけを見れば、白金級冒険者にだってこれほどのものはそうそう居ないだろう。
しかし――。
「お前、本当にこれでダンジョンボスを倒したのかよ――」
思わずため息が出てしまったカインだった。




