第50話 ギルドの見解
トールはその後、カイン・ジュダートから事の成り行きを聞いた。
今日行ったクエストは、実は「パーティ用の昇格クエスト」であること。しかも、掃討対象は第2階層までで、3階層とダンジョンボスは含まれないこと、さらに、「マイン・コボルド・ロード」は特級モンスターであり、適正階級パーティでも、半数以上が討伐できない程だという事などの説明を受ける。
「――つまり、お前の強さは、異常だということになる。だから聞く。お前はいったい何者なんだ?」
カインの眼光が鋭くキールを刺し貫く。
何者かと問われても、トールはただの初級冒険者でしかない。まあ、「スライムと協力し合っている」という点を除けば、だが。
「俺はただの初級冒険者だよ。ラムはそんな俺をサポートしている案内人に過ぎない――」
トールは、さすがにラムの正体が「魔物」であることを打ち明けることはできなかった。ラムもまた、その言葉を聞きながら、沈黙を守っている。
(――ラムが特に何も言わないってことは、これで正解だった、のか?)
ここでラムの方を見て確認したい衝動に駆られるが、トールはかろうじて踏ん張る。
ラムもかわらず押し黙っている――。
実際のところ、ラムディエルは戦闘時に一切手出しはしない。ただ、トールの右腕と剣を「提供」し、戦闘前に付与魔法をかけているだけだ。
これを、パーティの恩恵と捉えるか、装備の一環と捉えるかは、その者が冒険者かどうかという一点に依るものであり、ラムは冒険者登録をしていない。ゆえに、トールは基本的にはソロ用のクエストを受注しているし、ラムは報酬をもらっていないのだ。
「そうか――。まあ、いい。お前は本当にただの付添人なんだな?」
と、今度はラムに視線を向けて質問をするカイン。
「トールさんは、たまに方向音痴になったり、前に出すぎる傾向があったりと、まだまだ経験が浅いところがありますから。私が後ろからアドバイスしてるだけですよ」
と、ラム。
「まあ、魔術師の中には、使い魔や俯瞰魔法を使用するものもいるからな。別にクエストの規定に違反しているわけじゃない――。わかった。ただし、さっきも言ったようにお前の戦績は明らかに普通じゃない。ギルドとしては、お前を「ただの一介の冒険者」と見ることはもうできなくなっている。そこは肝に銘じておくことだ。場合によっては、敵対せざるを得なくなることもある。自重するんだな――」
カインはその言葉の後、下がっていいぞとトールたちに告げた。
トールはその後、部屋の外で心配そうに待っていたレイラさんに案内され、今日の討伐報酬と新しい灰色の登録証を受け取り、木こり小屋へと戻った。




