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第45話 レストレー鉱山


 ギルドを出て1時間後、カインはレストレー鉱山の入り口に到着した。

 鋼鉄スチール級冒険者への昇格試験用のダンジョンであるレストレー鉱山は、3階層からなる旧鉱山跡地だ。


 古い鉱山跡地で、100年ほど前に廃坑になった後、魔物が棲みつくようになり、最奥部には『ロード』も潜んでいる。


 昇格クエストの内容は、1、2階層の魔物の掃討であるため、ボス部屋までは行かなくても達成できる。


 この『掃討クエスト』が昇格クエストに充てられているのには理由がある。このレストレー鉱山に巣食っている魔物『犬頭コボルド』どもは、ある一定個体数以上になると、このダンジョンから這い出て、周辺地域にも出没するようになるということが過去にあった。

 その為、統一王朝は、このレストレー鉱山を「要管理迷宮」と定め、定期的に掃討作戦を行うべしとギルドへ通達を下したのだ。


 魔物1個体の戦闘力は、青銅ブロンズ級の冒険者とほぼ互角。だが、とにかく数が多い。知能的には、ゴブリンよりやや劣るとも言われており、ゴブリンほど連携攻撃を仕掛けてくることはないのだが、その分、不規則行動も多く集団で襲い掛かられると結構厄介なことになる。


 よって、ギルドはこの『掃討作戦』を、パーティー用の昇格クエストとし、定期的に間引きさせつつ、パーティの実力を測る『試験』と位置付けたというわけだ。



 といっても、特に『門番』や『守衛』が配置されているわけでもなく、鉱山の入り口付近には誰もいない。


 鉱山内部はそれなりの「ダンジョン」になっている。とりあえず、1階をぐるりと見て回ろうと決め、カインは山肌にぽっかりと口を開けている鉱山の入り口に歩みを進めた。



******



 一方、トール――。


「なあ、ラム。敏捷性増加の付与魔法の効果だが、本当にこれで、付与レベル1なのか?」


 付与魔法にはその効果の強弱によって付与レベルというものがあると聞いていたトールは、ラムに質問した。


「はい。聴力強化も敏捷性向上も、両方ともレベル1です」


 ラムがそう答えた。


「ふうん、レベル1でこんなに変わるなら、レベル2はどんだけ変わるのか、少し恐ろしい気もするな」


 トールは、剣に付着した、今しがた倒したばかりの『犬頭コボルド』の血潮をぶんと振り払いながら言った。

 ラムの付与魔法の効果は、トール自身が明らかに変わったと認識できるほどの効果をもたらしている。

 

 耳がよく聞こえるため、少しの物音でも聞き逃さず、また、ある程度何の音かも判別できるようになるため、索敵にかなりの程度貢献している。相手より先に接近を感知できるため、不意を突かれるということがほぼない。

 また、敏捷性向上は、体のさばき、間合いの維持、踏み込みの速度、剣撃の速度すべてにおいて、素軽く行うことが出来るようになったと感じる。


「――で、だ。これで、もう終わりでいいのかな? なんだか、昇給クエストってわりに、あっけなさすぎないか?」

「トールさんが強いだけですよ」

「そうなのかなぁ。もしかして、2階層までじゃなくて、3階層も掃討しないといけなかったのかも――」

「依頼書確認したらいいじゃないですか?」

「ははは、そうなんだけど、実はどっかで落としたみたいで、さ。確認しようがない」

「じゃあ、いっそのこと、3階層までやっちゃえばいいじゃないですか。そうすれば、『途中で終わってるからクエスト未完了だ』なんて、言われないでしょう?」

「そうだな――、そうするか。ラム、もう少し付き合ってくれ」

「もちろんですよ。トールさんには頑張ってもっと強くなっていただきたいですからね」


 そんな会話の後、二人は3階層へと降りる階段を下って行った。


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