第16話 冒険者階級
トールは晴れて最下級クラスである、青銅クラスの冒険者証を手に入れた。
冒険者の階級は、7つ。
青銅、鋼鉄、白銀、黄金、白金、金剛石、聖鋼の順にあがってゆく。
各階級の規定クエスト消化値に達するたびに、昇格試練クエストを受注でき、これを達成するとランクがアップする仕組みだ。
冒険者登録可能な年齢は15歳からであるから、トールは10年遅れで初級冒険者になったことになる。
トールぐらいの年齢だと、早い者で黄金級に達している者もいるぐらいだろうか。
そこから上位のクラスへは、相当の実力と実績が必要になるとされており、現在活動中の冒険者の最高位は金剛石級が2人いるのみで、聖鋼級は一人もいないとされている。
なお、先日消息を絶った『勇者』バルバロ・レジラントのクラスが聖鋼級であった。
(つまり、寝込みを襲ったとはいえ、こいつは、冒険者ランク最高位の猛者を取り込んだというわけだ――)
と、トールの傍らを、あくびをしながら歩く青髪の女を見やる。
「――ところで、だ。どうして検査をパスできたのか、カラクリを教えてはくれないのか?」
と、トールはラムに問う。
「はわわぁ~。なんと言うことは無いですよ。トールさん全体を、私の膜で覆っただけです。極薄の膜なので、感度は変わらなかったはずですよ?」
と、ラムがあくびをしながら答える。
「――そ、それなら、検査官に悟られても……」
「何度も言わせないでください。私ほどの高位の魔術師であれば、彼程度の聖職者の目を欺くことなど、容易いことですよ。それより、登録も終わったことですし、依頼を受けないのですか?」
「ん? ああ、依頼の前に装備だ。防具は付けられるんだから、せめて、な――」
「面倒なことですね。私がついているのですから、むしろ裸でもいいぐらいですよ?」
「まさか――」
「さっきも言ったでしょう? 私がトールさんを覆っていたって。多少の魔物の攻撃ぐらいなら吸収できますよ?」
「そう、なのか――」
「まあいいですよ。形にこだわる冒険者もいますから――。それより、お腹が空きました。お昼にしませんか?」
お昼――。確かにお腹は空いている。しかし、ラムは何を食べるというのか? もしかして――。
「ああ、今空恐ろしいことを考えていませんでしたか? 人間は食べませんよ? 普通の料理で充分です。どこかの料理屋に行きましょう!」
トールは少しほっとした。




