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第11話 魔王選定の手順は


 わたしはこう考えたんです――。


 そう言って、ラムは語りだした。


 『魔王』と『勇者』が交代交代で現れるから、魔族の勢力と人族の勢力のパワーバランスが揺れ、魔族の隆盛と人族の隆盛が繰り返されているのでは、と。


 わたしが勇者を消滅させるようになるまでも、『勇者』が生まれ、しばらくは人族の隆盛が続きますが、その勇者が老いや病に倒れると、今度は魔族の隆盛が起き始め、やがては『魔王』が誕生し、魔族の隆盛が最盛期を迎えるころ、やはりまた、新たな『勇者』が生まれるということを繰り返してきました。


 ですので、ならばいっそ、『魔王』と『勇者』が同一人物であったら、常にバランスに均衡がもたらされ、互いに協調してゆく道が開けるのではないかと――。


『ですので、わたしは勇者を取り込んで、『勇者』の能力を()()し、また、魔族としても力をつけ、『魔王選定式』に出場して『魔王』になることを目指そうと思うのです――』


「『魔王選定式』――?」

と、トールがそれについて問いただす。


『はい。魔族の中からとくに勢力の大きい4名が『魔将』と、呼称されます。この『魔将』が4名誕生するたびに、4名による『魔王選定式』が始まるのです。その結果、最後まで立ち続けていたものが『魔王』となり、魔王軍を指揮する権限を与えられるというわけです』


「――そして、その魔王軍をもって、人類を襲う、というわけか――」


 ラムはトールの言葉に対して、はい、と答えた。


 トールはラムの話と今現在の魔族と人類との勢力関係を照らし合わせてみる。


 現在、『魔王軍』は存在していないとされている。というのも、十数年前、『勇者』バルバロ・レジラントによって、『魔王』ヨベラスが討たれ、その後、勇者軍によって大量数の魔物を排除することに成功したのだ。

 しかし、最近の話だが、その『勇者』バルバロ・レジラントが『勇者』を辞任し、次元の彼方へ旅立った、と聞いている――。


「まさか、バルバロは――」

『え? ああ、もちろん、すでにこの世界には存在しませんよ? わたしが取り込んだもので』


「次元の彼方とかって、おかしな話だとは思っていたが――。なるほど、忽然と消えれば、そう申し開きするしか、統一王朝には術がないというわけか」


 一晩にして、行方も言わずにこの世から姿を消してしまえば、統一王朝としても、そう言っておくしか手がない。過去にも、こうやって消滅した『勇者』のことを処理してきたのだろう。


 それで? ラムが『魔王』になると言って、それは勝手にやればいい話だ。『勇者』になれるかどうかはわからないが、なれなければ、やはり新しい『勇者』が生まれ、やがて、魔族は衰退期を迎えるだろう。

 トールがそう帰結したその時、思わぬ言葉がラムから告げられる。 


『――それで、ですね。トールさん、どうでしょう? 『勇者』を()()()()()()()()()?』


「なんだって――!?」


 はぁ!? 俺が、『勇者』だって!? どういう話の展開だよ――?


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