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部員2名から目指す甲子園〜人数足りないなら連合チームを組めばいいじゃない〜  作者: ウエス 端
連合チーム再結成編

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第96話 新キャプテン誕生

「あれ? そういえば泉さんは来てないの?」


 オレたちは練習用ユニフォームに着替えるべく埜邑のむら工業野球部の部室に向かっているのだが、松花高校のメンバーに女子マネの泉さんの姿が見えないことに気がついた。


 もしかして多岐川高校との連合解散で落ち込んで……と不安が一瞬よぎったが、上中野監督からそうではないと説明が入る。


「実はねえ、右肘が痛むって数日前に打ち明けられてさ。それでマネージャーはしばらく休ませてるんだ」


「そうですか……そういえば彼女、ソフトボール部で右肘痛めて選手を断念したんでしたね」


「というわけで今日はキャッチャーの練習はアタシしか手伝えないから、いつも通りとはいかないだろうねえ」


「あっ。それならたぶん大丈夫ですよ。ねえ勝崎かつざきさん?」


「あ、ああ。俺、ずっとキャッチャーやってきたので。オージロウくんの練習相手くらいは務まります」


「それなら基本的な練習は任せるよ。わからないことがあったらアタシに聞きな」


「はい!」


 上中野監督は納得してくれたようで心配顔が解消した。それにしても泉さん、早く治ればいいんだけど。長引くようならお見舞いすべきだよな……。


 ところで突然名前が出た勝崎さんは誰かというと、升田高校3人組の一人である。


 本人はそれほど上手くないと謙遜しているが、高校からキャッチャーを始めたオレやそもそもはユーティリティプレイヤーのしょーたにとっては十分に頼れる相談相手だ。


「さあさあ、もう部室に着きましたから。早う着替えてグラウンドに集合してくださいねぇ〜」


 話しているうちにもう到着か。埜邑工業顧問の笹木先生に促されてオレたちはさっさと部室に入って着替えを急いだ。



「で、何から練習を始めるんだ?」


「そりゃあ、やっぱりストレッチとかランニングとかでウォーミングアップからじゃねーの?」


「それはわかってるけど……ほら、誰が号令かけるかってことだよ」


 遅れてくる原塚さん以外の全員がグラウンドに集まって、オレたちは改めて自己紹介まで終わったところなのだが……リーダーシップを取れるヤツがいないことに気がついた。


 やっぱり別府さんのリーダーシップは凄かったなと思い知らされたが、もう頼れないのだから自分たちでどうにかするしかない。


「阿戸さん、ここは3年生としてビシッと」


「お、俺か? 俺はなんつーか、一匹狼気質だからよぉ。別府みたいにみんなをまとめるとかは、どうもな……」


「じゃあ勝崎さんたちは」


「えぇ〜? 確かに俺たちは3年生だけど、どう見てもこのメンツの中じゃ力不足だろ」


「今までやったことないし、どうしたらいいか」


「正直自信ねーな」


 升田の3人組をあてにするのは難しそうだ。


 じゃあ2年生の中から……とここで別方向から意見が出た。


「あの〜。ぼく、オージロウさんが適任だと思います〜。だってこのチームで投打の中心人物なんだし」


「そうだな。ひょ〜ろくくんの言う通りじゃないか」

「もう決まりだな」


 うーん。評価されてるのは嬉しいけど、自分で言うのもなんだがそういう柄じゃねえんだよな。


 それに……オレには密かに適任だと思うやつが別にいるのだ。


「なあしょーた。中学時代はキャプテンやってたんだよな?」


「な、なんでこの場でそんな話を持ち出すんだよ!? っていうかそれ以上言わないでくれ!」


「なんでだよ。オレはしょーたがふさわしいと思ってる。一人で野球部を立ち上げ直して、野球から離れてたオレに声かけて見事に引き入れたじゃねーか」


「いや、でもオージロウだけのことで」


「俺もよぉ、しょーたに一票入れるぜ〜。だってよ、前の連合チームでも試合で積極的に声出して野手をまとめてたのはしょーたじゃねえか」


「……確かにしょーたの言うことなら従えるぜ。オージロウがキャプテンとか御免被る」


「阿戸さんも大岡もしょーたのことをこんなに評価してるぞ」


「だ、だけどおれは2年生だし。それに原塚さんの意見を聞いてないだろうが」


「原塚さんは確かに性格的には向いてそうだけど……さすがに野球初心者の人にそこまで負担をかけるのはどうかと」


「で、でもさ……」


「しょーた! みんながここまで言ってくれてるのに、いつまでグジグジ悩んでるの? もう覚悟決めたら?」


「よ、よっちゃん!」


「なあオージロウ。あの女子誰なんだ?」


「埜邑工業女子マネの鯉沼さん。しょーたの幼馴染でもあります」


「へえ〜」

「そうかなるほどねえ」


「ちょっと! 何がなるほどなんだよ!」

「あ、あたしたち『ただの』幼馴染ですから!」


 だから、強調すればするほど余計に怪しいんだって。少なくとも鯉沼さんは。


 それはともかく、ここらで一押ししようかな。


「で、引き受けてくれるのかしょーた?」


「……みんな、ホントにおれでいいんですか?」


「いいに決まってるだろー」

「あたし、しょーたがチームを引っ張る姿を見たい」

「ウチのマネージャーが推してるんだから大丈夫だ」


「わかった。それじゃあ連合チームのキャプテン務めさせてもらいます!」


「頼んだぜー!」


「それじゃ早速……まずは軽く足をほぐしてからランニングを始める!」


「おおーっ!」


「いっちにっさんしー!」


「にーにーさんしー!!」


 みんなで声を出して走り始めると、ようやく本当の意味でチームが始動したことを実感できた。あとは今日中に上手くチームの骨格を組み立てられたら万々歳だが……とにかく頑張ろう。

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