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部員2名から目指す甲子園〜人数足りないなら連合チームを組めばいいじゃない〜  作者: ウエス 端
連合チーム再結成編

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第91話 連合チーム再始動!

「なあ〜しょーた。この人とはどういう関係っていうか知り合いなんだ?」


 今日は埜邑工業高校野球部と連合チーム参加の件で顔合わせをしているのだが。


 相手方の中に姿が見えた『よっちゃん』という女子としょーたが驚いた様子でいきなり名前で呼びあったのだ。


 まさかとは思うが、ここはチームメイトとして関係性を確かめねばなるまい。言っておくが決して興味本位ではないのだ。


「よ、よっちゃんは……おれの」


「おれの?」


「あの。あたしたち、ただの幼馴染だから。ねえ、しょーた?」


 『ただの』か。なんかわざわざ強調するところがちょっと怪しい。


 だが同意を求める彼女に対してしょーたの返答は非常に素っ気ないものだった。


「あ、ああ。その通りっていうか、まあ遊び仲間ってやつかな。小学校時代は」


「ちょ、ちょっと! 遊び仲間って何よそれ。そういう言い方ムカつくんだけど?」


「だってお前、おれと一緒に男子たちに混ざって遊んでたし……」


「そ、それはそうなんだけど。でもだからって女子に向かって遊び仲間ってどうなのよ!?」


「そんなこと言ったって、あの時はそうとしか思っていなかったんだからしょーがないだろ!」


 なんか揉め始めたぞ。その様子をニヤニヤと……いや微笑ましく見守ろうかと思ったが、話が進まないので途中で介入させてもらった。


「で、結局今はどういう関係なんだよ。その、『よっちゃん』って人とは」


「あの! あたしの名前は『鯉沼こいぬま 由紀よしき』って言いますから!」


「なるほど、だからその呼び方なのか。でもちょっと」


「オージロウも思っただろ? 男子と女子どっちとも受け取れる名前だって。おれは幼稚園で初めて会ったときから小学校高学年の途中までは男子だと思ってたからさ」


「だけど一人称でわかるだろ」


「……あたし、小学校までは『俺っ娘』だったんで」


「ああそうなの。まあ名前のことはともかく、なんで久しぶりに会ったって感じなんだよ。しょーたはずっと地元民だろうが」


「幼稚園と小学校から先は学区が違ったんだ。それでも小学校時代は遊んでたけど、おれが中学に入学してから疎遠になって。学年もおれが1コ上だし」


「よくわからんな。本当に『友達』なら連絡くらいは取り合うだろうに」


「いやだって相手は女子なのがわかってるのにさ」


「……あたしだって、何となく気恥ずかしいっていうか」


 なんか2人揃って意味不明な弁明を始めたよ。


 これはもっと突っ込めば……と面白くなってきたところで、古池監督が大きめの声で場を制するように割って入った。


「えーと、盛り上がってるところ悪いんだけど。連合チーム参加についての話を進めたいんだ」


「あ、すみません。おれはもう黙ります」


「あたしも」


「では監督どうぞ」


「オージロウくんなんか立ち回りが上手くなってない? まあそれは置いといて、俺と笹木ささき先生の話し合いは大体まとまった」


 埜邑工業側の顧問は笹木っていう名前なんだな。


 笹木先生は20代後半くらいに見える女性で、オレよりも背が高くて170センチ台ってところか。


 そして切れ長の目と後ろに上手くまとめた黒髪の、いわゆる和風美人である。スーツもシュッとした着こなしで、なかなかクールな雰囲気だ。

 

「コホン。では私からも一言。大化高校野球部の皆さんに」


 うっ……さっきはしゃいでたのを怒られるのでは? とオレもしょーたも身構えたのだが。


「今日はウチの子たちに会うてもろうて、ほんまにおおきにね〜。これからも仲良うしてやってほしいのやけど、どうです?」


 まさかのはんなりとした京都弁っぽい喋り方!


 一気に緊張感が抜けたオレたちは思ったことを素直に話し出す。

 

「いやまあ、良い人……少なくとも悪い人たちではないと思っています」


「ぼくも、とりあえずは大丈夫です〜」


「戦力的に言えばわだちくんがピッチャーっていうのにオレは興味を引かれたっていうか。いいピッチャーは多いに越したことはないんで」


「あらまあ。思うてたよりもなかなかええ反応もらえて、顧問として嬉しいです。アンタらよう頑張ったんやね〜」


「ありがとうございます先生」

「俺たち頑張って全てをさらけ出したんで」


「あらそう。まあ具体的なことは分かりませんけど、それで受け入れてもらえたんやったら、ほんまに嬉しいわぁ」


「それじゃあ連合チーム結成ってことでいいかな? 大化と松花さん、埜邑工業さんとの3校で」


「オレたちはいいですけど松花高校はこの場に誰もいないじゃないすか」


「上中野監督からは、ウチがいけそうならそれで構わないと一任されてるから大丈夫。阿戸くんはああ見えて結構面倒見がいいし」


「それじゃあようやく……連合チーム再始動だあっ!」


「これで、これで夏の大会への準備が始められるってもんだぜ!」


「あらまあ。そんなに喜んでもろうて、ここに来た甲斐がありましたわ〜」


 思わず抱き合ったオレとしょーたを見て笹木先生と埜邑工業の選手たちもホッとした表情を見せてくれた。


 まあこれからも部員募集しつつ準備するっていうのは難しいからな……連合チームとして大会に参加できるのはお互いにメリットしかない。


 まあ例の件はちょっと気がかりだが……普通なら例えその当時のキャプテンとやらとひょ〜ろくくんたちが再会したところで、向こうは何も手出しはできまい。


 同じ学校、同じ部活だからこそ脅しとかは効くわけだし、そこまでして何かしてくるメリットもないはず。


 というわけでようやく肩の荷が下りたところで練習に励みますか!

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