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部員2名から目指す甲子園〜人数足りないなら連合チームを組めばいいじゃない〜  作者: ウエス 端
春季大会編

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第83話 思いを吐き出してやる気が湧いてくる

「解散のことをなんで先に教えてくれなかったんすか!」


「俺らがどんだけ驚いたかわかってんのかてめーらはよぉ!俺たちの心を弄びやがって!」


「スマン……隠すつもりは無かったんだ。だがウチの監督がギリギリまで頑張ってたんでな」


「決定までは言えなかったし言わずに済むのを願ってたんだよね、こっちもさ」


 オレと阿戸さんは連合チームのLINEグループチャットで別府さんと石元さんを問い詰めている。


 いや正確には元連合チームだな。解散しちゃったし。


 もちろん別府さんたちに詰め寄っても何も変わらないし意味もないことは承知しているんだけど……。


 何か言わずには収まらない。それだけあの連合チームが気に入っていたのだ。


 そういうわけで八つ当たりしてすみませんと心の中で謝りつつ会話を続ける。


「ところで新しい連合チーム結成は上手く行きそうなの?」


「それはですね石元さん。県内にはもう一つ連合チームがあるのは知ってると思いますが……やっぱりそちらに参加させてもらうのが第一候補です」


「その連合チームもどうやら新入生入部で9人を超えそうなのが1校あるらしくて、もうすぐ離脱するって噂があります」


「しょーたくん情報を既に集めてるんだね。確かにそれが一番手堅いかも」


「だけどウチは去年の秋に参加を打診して断られたんです。まあその時は県高野連への再加盟申請中だったのもあったんですけど」


「それとよぉ〜、そこの参加チームはどこもウチからは遠くなるし……今までみたいに気軽に合同練習にいけなくなるんだよな〜」


「松花高校は多岐川高校のすぐ隣の街で距離も近いからね。そうなると今までとは逆に松花の方が長距離移動になっちゃうわけだ」


「なので念の為に他にも候補が無いか探しているんです。確認したら県の加盟校数と春季大会の参加校数が合わないんですよ」


「単独どころか連合チームとしても公式戦に出ない学校があると。でもそういうところってヤバくない?」


「そこは調べてみないと何とも。何らかの事情で参加を見送っただけかもしれませんし」


「なるほどね。手伝いはできないけどそういう学校のことで何か情報が入ったらしょーたくんにも伝えるよ。あと別府から伝えたいことがあるんだって」


「もしも新たな連合チーム結成が上手くいかないようなら遠慮なく俺たちに相談してほしい。ウチの監督もその際はもう一度県高野連に掛け合うって言っているんでな」


「わかりましたキャプテン……ってもう一度呼ばせてもらいたいです、オレの本音は」


「俺もみんなとまたやれたらそれが一番嬉しい。だけどまずはそれぞれやるべきことをやろう。それじゃ晩メシ時だし今日は解散!」


 はあ。グループチャットも終わってなんだか虚しい。


 新しい連合チームか。組めたとして相手チームの人たちと上手くやっていけるかな。


 正直言って不安……晩メシが喉を通るだろうか。


「オージロウ〜! 晩ご飯できたからリビングに来なさい! 今日はハンバーグよ!」


 オレを呼ぶ姉ちゃんの声。それはともかく。


 ハンバーグ……だと!?


 オレは母さん手作りのハンバーグが大好物なんだ。それを聞いた途端にお腹が鳴り出して……自分の身体だが現金な反応に可笑しくなってきた。


 そして気がつくとオレの足は早足でリビングに向かっていた。



「あのさオージロウ。さっきあっちゃんと優子ちゃんと3人でグループチャットしてたんだけど、あっちゃんがオージロウと田中くんに会えなくなって寂しいって言ってたよ」


 多岐川高校女子マネ仲尾さんと松花高校女子マネ泉さんのことだな。姉ちゃんは彼女たちのことをそう呼んでいるのだ。


「オレも仲尾さんには合同練習でお世話になったから残念だよ本当に。そう伝えといて」


「わかった」


「……そういや姉ちゃんの方は順調なのかよ?」


「ゆかりんの高校との連合チームの話かしら? 現状はお互いを合わせても8人しかいなくて。もう1人なんとか勧誘するか、別の学校との3校連合も考えているところなのだけど」


「なんかこっちと状況が似てるじゃん」


「ふふっ。奇しくも姉弟で同じ時期に同じ苦労をするとはね〜。だからオージロウたちの面倒はあまり見れないけど……どうしても困ったらお姉ちゃんに相談しなさい」


「それはともかく、そんな都合よく別の学校が見つかるのかよ」


「実はゆかりんが既に動いてくれてる。こっちに引っ越す前に居た場所で、中学時代のソフトボール部仲間に相談してるんだって。もしかしたらそれで相手チームが見つかるかもしれないのよ」


「いいなあ、姉ちゃんには頼りになる親友がいて。しょーたは正直言って頼りになる時とさっぱりな時の差が激しい」


「前にも言ったでしょ。相手にばかり頼るんじゃなくてお互いに協力しないと。さっきのことはゆかりんに任せてるけど、その代わり連合チーム申請の手続きは私が主導で進めて分担してるんだからね」


「わかった、わかりました!」


「全くもう……お姉ちゃんの忠告はちゃんと聞きなさい!」


 口うるさいなあという思いと、最近はお互い忙しなくて久々に会話できていることの嬉しさが混ざり合ってなんか複雑な気分だ。


 でもなんかやる気が湧いてきた。ありがとよ姉ちゃん。

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