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部員2名から目指す甲子園〜人数足りないなら連合チームを組めばいいじゃない〜  作者: ウエス 端
春季大会編

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第81話 遂に新入部員獲得……それから衝撃的な展開へ

「あ〜あ。結局、新入生で入ってくれた部員はたったの一人か。せめて2、3人はって期待したんだけど」


「まあでも入ってくれただけマシだよ。去年はオージロウが転校してくるまでどれだけ声をかけても誰も入ってくれなかったんだから。前も言ったけど、このあたりで野球続けたいヤツはみんな私学とかに行っちゃう」


「そうだったな。じゃあ早速自己紹介よろしく、新入部員くん」


「わかりました〜。名前は佐藤 瓢六(さとう ひょ〜ろく)です〜。これから、よろしくお願いします〜!」


 待望の新入部員は間延びした喋り方どおりにのんびりした性格……に見える、今のところは。


 身長はオレより低くて体格もガリ……線が細くて戦力になるまでに時間はかかりそうだけど、野球経験者ということでオレとしょーたの期待は大きい。


 それじゃあ彼のことをもっと知るべく詳しいことを聞いていこうかな。


「こちらこそよろしくな! それにしても苗字はともかく名前はちょっと変わってるけど……まさか六つ子とか!?」


「やだなぁ〜、某アニメじゃあるまいしそんなわけないでしょ〜。でも男ばっかりの兄弟で六男なのは間違いないです〜」


「今どきそんなに兄弟がいるなんて……ウチでも3人だから

兄弟が多いって言われるのに」


「ん〜? 雛子さんだけじゃなかったんですか〜、オージロウ先輩〜?」


「まあ、一応その上に兄ちゃんも……それはともかくポジションはどこだっけ? 中学は野球部、それともシニア?」


「ポジションはリトル時代にセカンドとサードやってました〜。中学時代は野球部……でしたが、1ヶ月で辞めちゃいました……」


「……どうしてさ。野球が嫌になったの?」


「なんていうか……野球部が不良の人たちの溜まり場になっちゃってて。特に当時キャプテンだった人がそういう人たちと仲良かったんで。それでぼくも入部早々毎日のように焼きそばパンを買いに行かされたり……」


「そいつはひでえな、パシリ扱いかよ。新入生はみんなやらされたの?」


「いえ、キャプテンや不良の人たちとウマが合うというか仲良い人たちは言われないんですけど。それ以外の新入生はパシリだったり謎の上納金徴収されたり、暇潰しに蹴られたり……」


「えーと、ひょ〜ろくくんの出身中学は大化西おおばけにし中学だよね?」


「はい、そのとおりです。どうしてわかったんですかしょーた先輩?」


「そういうヤバい噂が出回ってたんだよ、そこの野球部は。だけど割と強くて……おれが中学2年の時に公式戦で当たったけど、そのキャプテンって人は実力が飛び抜けてたのを覚えてる」


「ですね……そういう人に限って能力高かったりするから嫌になります〜。で、ポツポツと新入生が辞めていって、ぼくもさすがに1ヶ月が限界でした」


「パシリはまだしも上納金とか暴力とか犯罪じゃねーか。監督には相談しなかったのかよ?」


「それがですね〜オージロウ先輩……みんな仕返しが怖くて」


「それはそうだろうけどさ」


「だからぼくは辞める直前に思い切って一人で訴えたんですけど……監督は注意するどころかキャプテンと不良たちの方を擁護したんです。『部室に友だち連れてくるのは普通だろ』『それくらい我慢しろ』『嫌なら辞めていいんだぞ?』って」


「な……信じらんねー!」


「要するに実力が高いキャプテンにへそ曲げられて辞められたら困るからってことだろ」


「マジかよしょーた。世の中にはひでー監督がいるもんだ。で、ひょ〜ろくくんは仕返し大丈夫だったの?」


「最初はヤツらに脅されました〜。だけどぼくの兄の一人……2歳上で同じ中学の3年生で在籍してたのがケンカが強くて。ぼくがその弟だとわかると向こうから関わってこなくなりました」


「それなら良かったよ〜。そういう時は使える手段は何でも利用しねーとな、下手すりゃ命に関わる」


「……オージロウ先輩っていつも仏頂面なのに本当は心優しい人なんですね〜。意外だけど安心しました〜!」


「あ、そう。一応ありがとよ」


 なんか複雑な気分だがまあいいや。それよりも今後のことの方が大事なのだ。


「じゃあ明日から早速練習開始な。オレも3年以上のブランクがあったけど何とかなってるし、ひょ〜ろくくんも自分のペースで頑張ってくれればいいから」


「はい〜っ! あの、ところで……ぼく、雛子さんにご指導してもらいたいのですが〜」


「はぁ? どういうことだ?」


「ぼく、見学の時に雛子さん……いえ雛子様の凛々しいお姿を見て、是非とも練習でシゴいてもらいたくって……それで野球部への入部を決意したんですっ!」


 こ、コイツ! 結局は姉ちゃん目当てかよ!


 しかもちょっと変わった目的だとは……!


「あのなあ! 姉ちゃんはあくまでも女子硬式野球部の」


「待てオージロウ……ここはおれに任せてくれ。新入生にビシッとわからせてやる」


 おおっ! さすがしょーた、やる時はキメる男だ……と一瞬でも思ったオレが馬鹿だった。


「いいか新入生。雛子さんに練習でシゴいてもらう権利があるのは……このおれだけなんだっ!! お前が雛子さんに相手してもらおうなどと、百万年早いんだよぉっ!!!」


「な、なんでですか! ぼくだって同じ野球部員だから権利くらいあるでしょうが!」


「う、うるさい!! 認められぬものは認められん!!」


「じゃあこんな野球部辞めてやるっ!! ぼくは雛子様が躍動するお姿を遠くから眺めているだけでもそれなりに……!」


「おのれ! この期に及んでそんなことを言い出すとは卑劣な!」


 全く見苦しいぜしょーた。しかも反対にやり込められかけてるし。


 せっかくの新入部員をみすみす逃がすのは忍びないんで、ひょ〜ろくくんにも姉ちゃんからアドバイスもらえるようにオレが保証した。


 ただし当面はオレを間に入れてだけど。しょーたにはそれで強引に納得させた。


 まあどっちにしても新卒で色々と忙しい古池監督は練習の途中からしか顔を出せないし、新入生の基礎練習については姉ちゃんが作ったメニューを使わせてもらうつもりだったのだ。


 ……はあ〜。やれやれだぜ。



「オージロウくん、しょーたくん。悪いけど放課後に視聴覚室に来てくれるかな?」


「いいですけど。もしかして連合チームの打ち合わせとかですか?」


「……詳細は多岐川高校の蒼田監督から顔を合わせて話をしたいって。そういうわけで頼んだよ」


「わかりました」


 古池監督はオレたちが廊下で喋っているところへ割って入り、要件だけ話すとそそくさと立ち去った。


 何だろうと思いつつもオレたちはさして気に留めずに会話を再開する。


「次の試合のことかな」


「おれたち、なんだかんだいって県大会ベスト4進出だもんな。あらかじめ入念に打ち合わせしとかないと」


 我らが連合チームは橘商業戦の後のベスト8も勢いに乗って突破し、遂に春季県大会優勝が見えるところまで来たのだ。


 その後は地域の大会へも出場して……ああ、早く未知なる強敵たちと試合がしたいぜ。


 そんな呑気なムードで放課後の視聴覚室に集まったオレたち。


 コロナ騒動の時にテレビ会議機能を増設したということで蒼田監督、松花高校の上中野監督の顔がモニターに映っている。


「あ〜。今日は急遽お集まりいただき、誠にありがとうございます、皆さん」


「……挨拶はいいからさ。先にもう結論から話しちゃいなよ」


 緊張した表情の蒼田監督がいつもより丁寧な挨拶をしたと思ったら、上中野監督が少し苛立たしそうな声で会議の早い進行を促した。


 これは何かある……。


 オレたちも身構えたが、蒼田監督が次に話した内容は完全に想定外……いやそうであってほしいという衝撃的な事であった。


「皆さんには大変、申し訳ありませんが。我らが連合チームを……解散することになりました」

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