表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
部員2名から目指す甲子園〜人数足りないなら連合チームを組めばいいじゃない〜  作者: ウエス 端
春季大会編

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

74/185

第74話 全力で勝負する

「さあ見せてもらおうか、お前の一番速いボール。ワシはそれを待っとる」


 橘商業の4番打者である谷下は左打席でバットの先をオレの方に突き出しながら挑発めいたことを言い放ったけど……。


 まあ、要するに『内角へ投げてこい』ってことだろう。


 プルヒッターである谷下にとってはもちろん得意コースなのはわかってる。


 誰がそんなところに……いや投げる。しょーたと既に相談したが、普通に投げてやるよ。


 だって外で勝負するにしても内角も使わないとね。


 それに、ここで谷下を全力で抑えておく必要もある。


 何故なら谷下は橘商業の攻撃パターン……2、3巡目で慣れてきたところでの中軸打線による集中打で、その切っ掛けになることが多いのだ。


 つまりここでヒットを打たれると相手を勢いに乗せてしまう。山之口から点を取れる見込みが見えない現状ではそれは避けなければならない。


 それじゃあ気合いを入れ直しつつセットポジションについて準備を始める。


 1塁ランナーは気になるが軽く1回だけの牽制に止めておこう。以前よりは鋭い牽制球を投げられるけど……無理せずバッターへと気力を集中だ。


 谷下は右足を若干後ろに引いて……ピッチャーがモーションに入るとそれを前に振り上げる。


 そこからコースとタイミングによって足の着地点を変えて一気に振り抜いてくるのだ。


 なのでそのリズムを崩さねば……というわけで。


 初球はもちろんここだ!


 ズバンッ!


「ボール!」


「かぁ〜! 胸元厳しいとこ抉ってのけぞらそうとは、小賢しいのう〜!」


 へっ、なんとでも言えってんだ。


 でもわかったことはある。内角だからといって何でも振ってくるわけじゃないんだって。


 当たり前だと言われそうだが、少しでもピクリとバットが反応すれば選球眼はそれなりということだ。


 でも全く動く気配がなかった。ストレートでボール球を振らせるのは骨が折れそうだな。


 それはともかく2球目は内角低め!


「うりゃあああっ!」


「ぬううんっ!」


 ズバンッ!


「ストライク!」


 うっしゃ! ギリギリいっぱいに決まって空振りさせたぜ!


 ん? しょーたが捕球してすぐに立ってもう送球の構え……2塁に盗塁か!


 慌ててしゃがんで送球されるのを待つが、しょーたは窮屈そうにしながら一瞬遅れて送球する。


 クソッ、やっぱり左打者だと……しかも空振りして体勢を崩してるとキャッチャーも投げるのに神経を使う。


「セーフ!」


 やっぱり間に合わなかったか。といってもしょーただけでなくオレにも原因があるのだが。


 2球目は警戒を怠った……というかバッターに意識が行き過ぎた。おまけにクイックモーションもまだまだ未熟だ。


 橘商業は隙を見せたらホントそこを逃してくれない。


 しかし盗塁に気付かなかったおかげで手元が狂わずにコーナーいっぱいを突けて、結果谷下を自由に打たせなかったのだから、悪いことばかりでもない。


「思ったよりもやるのう。あのコースに威力を落とさずに投げ込めるとは……だが次は無い」


 今回も右足を引いて大きく構える谷下。


 ちょっと投げにくいな……。ここは無理せずに1つ外角を使っていくか。まだボール球を2つ使えるんだし。


 そういうことで外角高めにボール気味に投げる……が下手に置きに行くと1打席目のように踏み込んで無理矢理引っ張られるから。


 むしろ力を込めて投げる!


「うりゃああっ!」


「……ぬううんっ!!」


 バコォーッ!


「ファウル!」


「クソッ! 捉えそこのうたか」


 打球はキャッチャーと球審の頭上を鋭く越えていきバックネットへ突き刺さった。


 ふう、助かったぜ……あれ、何かおかしいな。


 ボールになってもいいとコースも高さもギリギリ狙いの外角ストレートをわざわざ振りにいくなんて。


 まだワンストライクだったから見送っても良かったんじゃ。


 ……いやそういうことか。ならば方針変更だ。


 オレは一旦プレートを外してランナーを牽制するフリをして、プレートに立つ位置をさり気なく三塁側に寄せる。


 そして内角ベルト付近へ……あえて身体を早めに開いて投げ込む!


「……!」


 ズバンッ!


「ボール! ツーボールツーストライク!」


「フン。腹を抉ったつもりかもしれんが、シュート回転しておったわ。怖いのに無理をせんほうがいいぞ? ん〜?」


 おっ、ちゃんと良く見てる。そしてそんな風に思ってくれるとありがたいぜ。


 前フリは終わった……最後はこれでキメさせてもらう。


 オレは安定した軸足からエネルギーを放出するように踏み出し、左腕を思い切り振り抜く!


「うりゃああああっ!!」


「外角! ぬうううっ!!」


 ズバーンッ!!


「ストライク! バッターアウト!」


「しもうた! ワシとしたことが! 高めのボール球に釣られて振ってしもうたとは……!」


 おっしゃキマったっ!


 オレはしょーたに向かってグッとガッツポーズをしたが、向こうはよくわからなくて納得していない様子だ。


 まあベンチに戻ってからこれを説明するか。


 谷下は内角を引っ張るのが得意なのは本当だと思うけど……対戦相手がそれを警戒してしているのを逆手に取り始めたようだ。


 内角狙いと見せかけつつ、外角にストライクを取りにきたボールを積極的に打ちにきてたんだよな〜、どう見てもさ。


 というわけでオレは最後のストレートに思いっきりバックスピンをかけて勝負に出た。


 ストライクに見えてからボールゾーンに浮き上がるストレートで見事に仕留めさせてもらいました!


 これで4回表まで無失点。今日は最低5回まで行くのが目標だが……なんとかこの調子で7回までいきたいな。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ