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部員2名から目指す甲子園〜人数足りないなら連合チームを組めばいいじゃない〜  作者: ウエス 端
春季大会編

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第71話 お膳立て

「あの〜。橘商業の人たちって、昔からあんな荒っぽい喋り方なんですか?」


 2回裏を投げ終わってベンチに戻ったオレはウチの連合チームの監督を務める多岐川高校の蒼田監督に疑問をぶつけた。


「あ〜、まあそうだね。昭和の戦前からある野球部だからかな、伝統みたいなものだよ」


「伝統……ですか」


「うん。バンカラ気質っていうのかな? 俺もよくわからないんだけどそういうのが残ってるみたい」


 バンカラってなんだ? 唐揚げの一種だろうか。


 後で古池監督に聞いたら、要するに荒々しい服装や粗野で勇ましい振る舞いをするような学生たちのことらしい。


 但しヤンキーじゃなくて漫画に出てくる応援団とか◯塾とか、そういうイメージなんだってさ。


 まあ古池監督も実際のところはよくわからないみたいだしこれ以上はどうでもいいや。


 マウンドにはストレートは130キロ台だが多彩な変化球による配球で翻弄する右腕・岸さん。


 打席にはウチの9番・大岡が右打席で構えている。


 そして3球目……。


 バシィッ!


 いい当たり! そのまま三遊間抜けろー!


「むうっ! 簡単に抜かせると思ったか!」


 相手ショートが深い位置で打球を捕り、踏ん張って送球して……。


「セーフ!」


 よっしゃ! あまり落ちずに甘く中に入ってきたフォークを見逃さず、強く引っ張っての内野安打だ!


 だけどタイミングは微妙だった。伝統校だからかやっぱり守備が堅い。


 次はしょーたか。続けて出塁してくれよ、頼んだぜ!


 そうすればランナーが溜まった状態でオレに回ってくる。もちろん満塁策もあり得るが……中軸に回ることを考えればオレと勝負する可能性が高い。


 というわけでここはバントではなくヒッティングのはず。おっとオレもサークルに行かないと。


 右打席に入るしょーたを見ているといつも通りの表情で緊張はしていないからややこしい策は無さそうだ。


 さて初球は……真ん中だと?


「ストライク!」


 見逃して正解だったぜしょーた。シンカーを低めに落として引っ掛けさせゲッツーを狙ってた。


 2球目は外角低めにスライダー、それもヤバい!


「ストライク!」


 あれはセンター返しにするしかないけど、もちろん二遊間を狭くしてゲッツー狙いだから見送り。


 さてこれで追い込まれたけど、どうするよしょーた?


 3球目のボールになるスライダーには手を出さず、カウントは1−2だが不利な状況に変わりない。


 そしていよいよ勝負の4球目、ストレートで押してくるかそれとも。


 投じられたのは外角低め!


 だがわずかにボールゾーン。これは見送り……いやバックドアのシンカーで中に入ってくる。


 しかしこれをセンター返ししたら……!


「我慢して、引きつける! でやっっ!」


 バシィッ!


 ギリギリまでボールを見極めておっつけた打球は1塁線を襲う!


「ファウル!」


 ふう。何とか逃げた。やるなしょーた。


 低めを見極められつつある状況で相手バッテリーの5球目の配球は、やっぱりそうしたくなるよね。


 内角高めストレートで起こしにかかる、が!


 バシィッ!!


 しょーたは待ってましたと身体を回転させながら振り切って、詰まり気味だがレフト前に運んでヒット!


 これでノーアウトでランナー1、2塁。終盤なら敬遠満塁策で次に勝負をかけるだろうけど……まあそこまでするまい。


 ふふふ。大岡としょーたにここまでお膳立てされたら狙うしかないよね〜。配球は大体予想つくし。


「うりゃあああっ!」


 バシィーーッ!!


 初球、外角に逃げていくシンカーに踏み込んでレフトポール方向へ……!


「ファウル!」


 残念、ポールの前で左に切れていった。


 ここで橘商業ベンチが慌ただしい。そして球審に何やら告げに行き……。


「ピッチャー交代を認めます」


 マジかよ! 初球投げたあとだぞ!?


 でもこんな場面で出てくるって普通はエースだよな、やっぱり。

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