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部員2名から目指す甲子園〜人数足りないなら連合チームを組めばいいじゃない〜  作者: ウエス 端
春季大会編

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第68話 新入生勧誘と新任監督着任

「野球部に入りませんか!? 一緒に甲子園を目指そうぜ!」


 春季大会の県大会本戦への出場を決めて喜びに浸ったのも束の間、オレとしょーたは新入生の勧誘に力を入れている。


 そもそもウチの高校は前年度に冬の全国選手権に出場を果たして注目度の高いサッカー部を始め、◯イキュー!人気がいまだ衰えないバレーボール部、まだまだ◯ラムダンクや◯子のバスケが根強い人気を保つバスケットボールといった他の競技への入部を目当てに入ってくる生徒が多い。


 というかこの近辺の中学生で野球を続けたい生徒は野球部の活動が盛んな私学や伝統的に実力がある商業高校、体育科がある公立校へ流れてしまう……としょーたから聞いた。 


 なので期待はしていなかったが、それでもポスターを張り出したり呼び掛けを連日実行していると興味を示す新入生も現れる。


 ちなみにポスターの絵はしょーたが描いたがそこそこ上手い。何故か飼い猫のレオくんをモデルとして前面に出しているが、それも興味を引くのに役立っているようだ。


 だが……。


「えー!? れ、練習場所ってこんなところだけなんですか?」


「うん。連合チームの合同練習日以外は」


「そ、それはちょっとさすがに……」


 せっかく見学にきても、ウチが独占して使える練習場所はバックネット裏だけだとわかると途端に大半が去ってしまうのだ。


 グラウンドのかなりの部分を優先使用しているサッカー部とは交渉したのだが、今年もインターハイを狙える戦力があるとのことで現状維持となってしまったのである。


 それでもわずかに残った人たちをもてなそうとするのだが……。


「まずは数をこなす! 30分間で素振り300回が目標よ!」


「そ、そんな〜!」

「いきなりキツ過ぎますキャプテン〜!」


「四の五の言わずにやる!」


「ひい〜!」


 姉ちゃんが立ち上げた女子硬式野球部には既に3人が入部してオレたちと同じくバックネット裏で練習しているのだが……。


 姉ちゃんのスパルタっぷりを見て恐れて逃げていってしまうのだ。あくまで別の部だというのに。


「姉ちゃん! 今どきはもっと優しくやらないとだな」


「……丁度いい機会ね。オージロウと田中くんもついでに鍛え直してあげるわ! 最近ちょっと弛んでいるみたいだし!」


「よろしくお願いします! コーチ!」


「しょーた、お前なあ!」


「スイングに腰が入ってないわよ!」


「はい、コーチ!」


「もうめちゃくちゃだ〜!」



「すまない、顔を出すのが遅くなってしまって」


「あっ……古池こいけさん。いえ監督と呼ばないと。すみません」


「いや、まあ別にどっちでもいいよ、雛子ちゃん……いやこちらこそ失礼、山田さん」


「……なあオージロウ。新任の監督、雛子さんに馴れ馴れしくし過ぎだろ。腹立つなあ!」


「仕方がないよ。だって兄ちゃんのチームメイトだった人なんだから」


「おっ、二人とも練習頑張ってるな」


「「こんちわっす監督」」


 今年度から中原先生と入れ替わってオレたち男子野球部の監督に就任したのは、3月に大学を卒業したばかりの新卒教師、古池先生だ。


 そしてなんと兄ちゃんとは高校時代にチームメイトだった人なのだ。


 オレはサッパリ覚えちゃいないが、姉ちゃんとはお互いに覚えていたようで、それがさっきのやり取りというわけだ。


 小学校時代まではこちらに住んでいたらしく、すぐに野球部監督になれるということもあってウチへの赴任を希望したそうだ。


 コレは運命の出会いと言っていいのだろうか。もしかしたら兄ちゃんも……。


 いや今はまず次の試合のことを考えないと。勝てば夏の地方予選のシード権を確保できる。


 そうなればいきなり強豪と当たるリスクを回避できるし、ウチの連合チームは人数がギリギリなので暑い中での試合数が一つでも減る方が正直言ってありがたい。


「それじゃあ3人でキャッチボールしようか」


「「お願いします!」」


「いいね〜オージロウくん。いい回転のボールが来てる」


「それはどうも」


「う〜ん。だけど、お兄さんのボールはもっとこう、回転が鋭いっていうか、もっと軽く投げても威力があったっていうか」


「は、はあ。頑張ります」


 オレにとっては正直言って微妙な出会いだ。


 事あるごとに兄ちゃんと比べられて……もちろん古池さんに悪気はないのはわかってるけど。


 今になって、冬の合宿でシンイチさんがやってきた時のしょーたの気持ちをなんとなく理解できた。


「ところで監督の小学校時代はどうだったんですか? 次の対戦相手は」


「そうだなあ。しょーたくんも知ってる通りのいわゆる古豪で、あの時はせいぜい2回戦に進出できればいいくらいまで落ちていたはずだ」


「となると参考にはならないですね」


「そうだね。まあ知っていることは、今のチームにはかなりの速球派投手がいるっていうことくらいかな」


「わかりました。おれももうちょっと調べてみます」


 監督としょーたが話しているのは県大会初戦の相手……公立の古豪、橘商業高校についてだ。


 昭和の初めから中期にかけて春夏合わせて5度甲子園に出場し、なんと1度だけだが全国優勝経験まであるという。


 まあ昔すぎることなんでビビる必要はないけど……それでも復活してきた古豪、油断はならない相手だな。


 あとはエースの速球派投手がどれくらいか楽しみだ。


 速ければ速いほどスタンドへ放り込んだ時の快感が大きいだろうから。

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