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部員2名から目指す甲子園〜人数足りないなら連合チームを組めばいいじゃない〜  作者: ウエス 端
冬の合同合宿編

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第52話 体力強化と突然の再会

 合同合宿から既に1週間以上が経過した。


 次の合同練習の調整もしているが、まずは足りない部分を強化していかないと。


 オレとしょーたは最も大きな課題である体力不足を解消すべく、中原先生経由でサッカー部に頼んで学校外周の走り込み練習に参加させてもらっている。


「はあ〜、はあ〜! も、もう走れねぇ〜!」


「頑張ったけど、今日もみんなから遅れて最後尾だった! おれたち全然ダメじゃんかよ〜!」


「そんなことねーぞ野球部! 初日に比べりゃだいぶついてこれるようになってっぞ」


「ほ、本当っすか?」


「間違いねーって。それにしても頑張ってるよなお前ら。最初は今さら野球部復活なんてフザけてると思ったけど、今はもう俺らも馬鹿にしてねーから」


「あざっす!」


 練習自体はキツいけど、参加して本当に良かった。


 大勢の人たちに揉まれながら練習することで自分たちの今のレベルを知ることができるし、追いつこうと食らいついて成長できる。


 それにサッカー部はもちろん、他の部にも徐々に存在が認知され始めた。


 これまでオレたちの事はバックネット裏で何かやってる怪しい連中だと思われていたらしいから……他の部と交流するのはやっぱり大事なことなんだよ、うん。



 更に数日経っての日曜日。野球部の練習は休みだ。


 ウチの学校の部活動は原則的に週1回は休みを入れなければならない。


 サッカー部は火曜日が休みで、その日は空いたグラウンドをある程度は使わせてもらえる。


 逆に日曜日はサッカー部が練習試合や紅白試合を組むことが多くてグラウンドが空くことはない。


 結局は日曜休みが我が野球部にとって一番理にかなっているのだ。


 そして今、オレは姉ちゃんとしょーたと3人で◯オンモールに来ている。


 目的はモール内のスポーツ用品店で練習用ゴムスパイクの新調と試合用スパイクの下見で、それは既に達成した。


 しかし姉ちゃんがついでだからとあれこれ買い物して荷物持ちをさせられているのだ。


「まだ買い物を続けるつもりかよ。もう疲れた、帰ろ〜ぜ!」


「オージロウ……この程度で疲れるなんて、体力トレーニングを真面目にやってるのかしら? 田中くんも疲れたの?」


「お、おれはまだまだ余裕っす。だからこのまま続けましょう雛子さん!」


「いやオレは精神的な疲れをだな……姉ちゃん前見てっ!」


「えっ……しまった、避け切れないっ!」


「きゃああっ!」


 あちゃー。後ろを向いて歩いていた姉ちゃんは前から来た女性とぶつかってしまった。


 とにかく女性の方にまず声をかけないと。


「あの、大丈夫ですか?」


「え、ええ。転んでしまったけどそれほど強くは当たっていないので問題ありません」


「すみません、姉が余所見してたから」


「いえこちらこそ考え事を……あれ。もしかしてオージロウくん、なの?」


「えっ! な、なんでオレの名を。いやどこかで会った気も……」


「……ということは、ひなちゃん、なんだよね!?」


「あたた……ん? ひょっとして、ゆかりん!?」


「久しぶり〜! 2人はどうしてここに?」


「半年近く前に引っ越してきたの。ゆかりんこそどうして」


「私は……ウチの父は金融関係だから、また転勤でこの隣の市内に移って来たの。高校に上る前にね」


「そうだったんだ〜。こんなところで再会できるなんて……ちょっと話していかない?」


「私は大丈夫だよ。だけど……」


「それじゃオージロウ、田中くん! 悪いけど荷物をウチに運んどいて〜! だからもう帰っていいよ!」


「フザけんな! 散々買い物に付き合わせといて!」


「お詫びにチョコレート買って帰るから勘弁して」


「オレは小学生じゃねーぞ! もういい、頭きたから帰る!」


「それじゃ雛子さん、またあとで!」


「いいの? オージロウくん怒っちゃったけど」


「いいのいいの。だって、わたしはゆかりんと水入らずでお喋りしたいんだから。さあ喫茶店に行こうよ!」



「なあオージロウ。あの可愛いお姉さんは、いったい誰なのさ?」


「あの人は河合かわい 由香里ゆかりさん。姉ちゃんと同い年で幼馴染ってやつだ」


「あー、だからオージロウのことも知ってたんだ」


「うん。っていうかオレも幼い頃はよく遊んでもらったしな。それにリトルのチームメイトでもあった。姉ちゃんと由香里さんは黄金バッテリーって言われてたんだぜ」


 彼女は幼い頃よくウチに遊びに来て姉ちゃんとままごと遊びやってたんだよな、懐かしい。


 オレは姉ちゃんに強引に遊びに入れられて、だけどその張本人はすぐ飽きてオレをほっぽらかして外に行っちゃって。


 でも残ってくれた由香里さんが実の弟のようにオレの面倒を見てくれた……そんな心優しい女性なのだ。


 ちなみに姉ちゃんはオレのことなど忘れて外遊びして帰ってきたら母さんにこっぴどく叱られるのが毎度のパターンであった。


「へえ〜。で、由香里さんは途中で引っ越しちゃったわけか」


「中学に入る前にね。姉ちゃんがあんなに寂しそうにしてたのはあの時くらいかな」


「それがこの場所で運命の再会……そこにおれも立ち会えるなんて。ああ、おれはどちらを選べばいいんだ〜!」


 しょーたの野郎、姉ちゃんだけでなく由香里さんにまで!


 とんでもねえ野郎だな……ま、どうせ由香里さんからも相手にされないだろうけど。


 とりあえず家にさっさと帰ってあとはのんびり身体を休めることにしよう。


 由香里さんのことは……彼女が現れたおかげであれ以上買い物に付き合わされずにすんだ。


 感謝しつつもオレはこれ以上関わることはないと思っていたのだが。


 この時は気づいていなかった。由香里さんの再登場で、姉ちゃんはオレたちと過ごす時間より、自分の新しい舞台に重心を移していくことになるなんて……。

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