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部員2名から目指す甲子園〜人数足りないなら連合チームを組めばいいじゃない〜  作者: ウエス 端
冬の合同合宿編

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第51話 合宿最終日

「ふう。ようやく床の雑巾掛けが終わった〜!」


 今日は合同合宿最終日。


 練習は午前中に守備連係だけ行い、昼食後は選手全員で宿泊に使わせてもらったクラブハウスの掃除をやっている。


 監督自身が行う監督室以外をそれぞれ分担して、オレとしょーたは2階の大部屋と廊下を任された。


「なんか、これで終わりだと思うと急に寂しくなってきた。しょーたはどうなんだよ?」


「うーん。おれは寂しいっていうかホッとしてる。兄貴たち多岐川OBが来たりして精神的に疲れたっていうか」


「へえ。しょーたでもそんなに気を使うことがあるんだな」


「どういう意味だよオージロウ! おれのことをそんな脳天気バカだと思ってやがったのか!?」


「日頃オレの言動にいろいろツッコミ入れてくれるから、たまにはお返ししねーとな」


「そんなにオージロウのことをどーこー言ってねーよ! 雛子さんのことなら朝から晩まで語り尽くしたいけど!」


「あんな外面が良いだけの姉ちゃんによくそんなに夢中になれるな……信じられない」


「オージロウ……お前はずっと一緒にいるから雛子さんの魅力に気づかないだけだ。まあ、オトナになったらわかるだろうさ」


「なんだよそれ、腹立つなあ。ところでシンイチさんとはあまり話せなかったんじゃないのか? 昨日の練習試合が終わったあと、OBの人たちと蒼田監督は久しぶりに集まったからってすぐに街へ行っちまって、そのまま大学の下宿に帰っちまったんだろ?」


「いや、試合の中で分かり合えたっつーか……おれは満足してるよ」


「拳と拳で語り合ったみてーなもんか」


「どうなんだろ……まあそれでいいや。オージロウこそお兄さんが早く戻ってくると良いな」


「どうだろうね。でも何となくだけど、野球を再開する前よりはまだ生きてるんじゃないかって思えるようになってきたかな」


「つまりおれのおかげで前向きになれたってわけだ。もちろんお礼は歓迎するよ。例えば、もっと雛子さんとお近づきになれるようにお膳立てしてくれるとか」


「……それよりもあとは廊下だけだ。さっさと済まそーぜ」


「この話を始めるといつもはぐらかすよな……それはともかく焦らなくていいって。どうせパパ……ウチの親父が迎えに来るまでまだ時間かかる」


「今回は本当にありがとうな。ウチの親は兄ちゃんがいなくなってオレがリトルやめたあと、送り迎えが不要になってすっかりペーパードライバーになっちゃって。クルマもとっくに手放したし」


「でもこっちで生活するのにクルマ無しは不便だろ?」


「今までは自転車でなんとか凌いできたけど、やっぱり買い物が不便だって母親がペーパードライバー講習に通うのを考えてる」


「まあそうなるよな〜、地方だと。よいしょっと」


 オレたちは残る場所、廊下を雑巾掛けすべくモップとバケツを持って大部屋から出る。


 またいずれ、ここでみんなと深夜の会話を楽しみたいぜ。



「あっ! オージロウに田中くん、やっと終わったんだ」


「他のみんなはとっくに終わってるよ〜!」


 掃除用具を片付けて1階の食堂に入ると女性陣がテーブルを囲んで優雅にお茶を楽しんでいた。


 練習の手伝いから食事の準備、雑用とお世話になった女子マネたちと中原先生に姉ちゃん、練習試合の審判を一手に引き受けた上中野監督には感謝の意味を込めて掃除中はくつろいでもらったのだ。


 まあ、これだけで全てを感謝しきれたとは思わないが、とりあえずこの場でできることだけでもという気持ちだ。


「ごめん、2人で喋りながらのんびりやってたから」


「もう……お世話になったんだから最後くらいテキパキやる!」


「ちゃんとやったんだからいいだろ! それよりも帰る用意しないと」


「そういえばそろそろ来られる予定時刻ですね……とりあえず荷物をまとめましょう」


 中原先生に促されてすぐに出られる準備をしておく。


 それはいいが、今日は何となく姉ちゃんとは話しづらい。


 姉ちゃんは表面上は普段通りに振る舞ってるが、どうも内心苛立ってるというか。やっぱりリトルリーグ時代はカモにしていた弟にホームランを打たれたショックを引きずっているんだろうか。


 そんなことを考えながらあまり喋らずにいたのだが、しばらくするとしょーたの親父さんが迎えに来てくれた。


「カップとお皿は置いておいてください。自分らが最後に食堂を掃除して戸締まりしますから」


「あ、それではお願いします別府くん、みなさん」


「お願いします」


「ひーちゃ〜ん。しばらく会えなくなるの寂しいよ〜!」


「また合同練習で来られる時は必ず来るから、ね?」


「あの……またブロッキングとフレーミングの練習をここでやりましょう、オージロウくん」


「次も頼むよ泉さん」


「また来いよなぁ〜しょーた!」


「あれ? おれを見送るのは野郎だけ?」


 それぞれ別れを惜しみながらクルマに乗り込んでいき、すぐの出発となった。


 それにしても、収穫も多かったが課題も沢山浮き彫りになった合宿だった。


 春に向けて一層練習に励まねば。


 そして春季大会は行けるところまで勝ち進んで夏の地方予選に向けての弾みにするんだ。

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