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部員2名から目指す甲子園〜人数足りないなら連合チームを組めばいいじゃない〜  作者: ウエス 端
冬の合同合宿編

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第42話 2番DH

「1点先取されてしまったが……まだ試合は始まったばかり。まずは同点、それから逆転を狙っていこう!」


「「「おーーっ!!」」」


 1回表のOBチームの攻撃を『ひみつ兵器』姉ちゃんのタイムリーによる1失点だけでしのいで、ウチの攻撃が始まる前に別府さんから激が飛んだ。


 だがマウンド上には地方リーグ2部所属の大学とはいえ現役大学野球部員である池下さんが立ちはだかる。


 1番打者に抜擢されたしょーたは既に打席に入っており、オレもバットを握ってネクストバッターズサークルへと向かう。


 そう……オレの打順は『2番DH』なのだ。


 某MLB2刀流選手みたいでこれだけでワクワクな気分が止まらない!


 だが期待の裏返しでもあるのだから結果は出さないと。


 ピッチャーだけでなくキャッチャー、DHと出場機会を増やせばそれだけ活躍できる場面も増えるってもんだ。


 というわけでしょーたには悪いが池下さんがどんなピッチングをするのか見定めさせてもらおう。


 池下さんは落ち着いたマウンド捌きでプレートを踏んで投球を開始する。


 ノーワインドアップからスリークォーターへと流れるようなフォームで右腕をスッと振り抜いた。


「ストライク!」


 内角低めに決まったストレートをしょーたはあっさり見逃した。


 でもなんか球筋が素直じゃないっていうか。


 キャッチャーミットから聞こえてきた捕球音もボスッて感じで気持ちのいいやつじゃなかった。


 球速は……石元さんの方が速いかな?


 うーん、なんか期待値だけが膨らんでいたが遅くはないしキレもある。普通に良いピッチャーだと思う。


 だけどこれなら……石元さんのボールを受けているしょーたなら十分に付いていけるはずだ。


 そしてテンポ良く投げ込まれた2球目は外角だが甘いストレート……いやスライダーか!


 バシンッ! と身体を開かずに外へ逃げていくボールを捉えたしょーた。苦手なコースを克服するための体幹トレの成果が早速出た!


 打球はピッチャーの右横を抜けてセンターへ……。


「ヘイヘイ! お見通しだぜしょーた!」


 ショートのシンイチさんが回り込みながらあっさりと追いつき、そのままステップに移行して華麗に1塁へと送球した。


「くそっ、先に駆け抜けてやる!」


「アウト! だねこれは」


 必死で走ったしょーただが、もう少しというところで送球がファーストミットに届いてアウトとなった。


「ちくしょう〜!」


「ドンマイ、惜しかったな!」


 悔しがりながらこちらに戻ってくるしょーたに声をかけたがその返答は意外と自分に手厳しかった。


「さっきのは打たされたんだよ……わかってたのにあそこに打ち返しちまった」


「いやもう少しでセンターに」


「兄貴ならかなり強い打球でないとあの辺までは守備範囲なんだよ。で、池下さんは高校時代から打たせて取る投球スタイル」


「じゃあシンイチさんがいるところに打たせたってことかよ?」


「その通り。兄貴たちのチームはまさに『困ったらショートへ打たせれば兄貴が何とかする』っていうのが守備の基本だったのさ」


 マジかよ。でもある意味高校野球向きな戦術かもしれん。


 それはともかくオレはなんとなく頭の中にイメージが出来上がってくるのが自分でも驚いている。


「情報ありがとよしょーた。でもオレが何とかするから」


「おいおい簡単に言うけどな……」


 しょーたが言いかけたのを手のひらで押しとどめつつオレは左打席に入る。


「キミは確かさっき野次飛ばしてた……しょーたくんと同じ学校の友だちで、雛子ちゃんの弟だっけ?」


「……はい、そんな感じです池下さん」


 友だちとか弟ってなんだよ。草野球でメンバー不足で駆り出された人みたいに言われても。


 まあでも多岐川OBの人たちからすれば、オレはあくまで『シンイチの弟くんの連れ』という認識しかないのだろう。


 ならばせっかくだからここで覚えてもらおう。山田オージロウっていう名前と存在を。


「それじゃお手柔らかにお願いします!」


「うんうん。でも悪いけど効率よく打ち取らせてもらうよ、次から一応中軸だしね」


 そう笑顔で言ってから池下さんは再現映像みたいにさっきと同じフォームで右腕を振り抜いた。


 スリークォーターで真ん中からちょっと外の低め、これで効率よく打ち取りたいなら……!


 バシィーーンッ!!


 思った通りのシンカー系のボール……!


 ツーシームか曲がりの小さなシンカーかはわからないが。


 さっき何故か頭に浮かんだイメージ通りにややアッパー気味に打ち上げた打球は、センターの左側へと放物線を描いていく。


 この球場には小型だけどちゃんとセンターのフェンスの奥にバックスクリーンが設置されていて、打球はそこに吸い込まれるように落ちていった。


「ホームラン……だね! こっからでもボールがフェンスの向こうに消えていたのが見えたよ」


 球審役の上中野監督の認定により同点ソロアーチだ!


「見たか! オレのホームラン!」


「オージロウくん! 部内の練習試合とはいえ相手を挑発するような言動は控えたまえ!」


 しまった、調子に乗って別府さんに怒られた。


 でも『試合』で3年ぶりに打ったホームラン……やっぱ、きんもちいい〜!!

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