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部員2名から目指す甲子園〜人数足りないなら連合チームを組めばいいじゃない〜  作者: ウエス 端
冬の合同合宿編

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第37話 フレーミングとブロッキング

「うりゃ! 今度こそストライクだ!」


「全然サッパリだね。不自然に動かしすぎて、むしろストライクでもボールって言われかねないよ」


 オレは今、キャッチャーにとって重要な技術の一つであるフレーミングの練習に勤しんでいる。


 もちろん頑張って習得しようとしているのだが、コーチ役である松花高校の上中野監督からはダメ出しが続いてちょっと辛い。


「え〜、でも上手くやればボールをストライクに判定させられるって言ってたじゃないですか」


「うーん。ちょっとこっちの言い方が良くなかったかな。フレーミングってのはボールを無理やりストライクにする技術ってわけじゃないよ」


「それじゃなんなんですか」


「基本は『ストライクをボールにさせない技術』だよ。ミットを最短で無駄なく動かして捕球の瞬間にビシッと静止する。これができてこその『際どいボールをストライクに見せるテクニック』さ」


「なんかややこしいな……すいません泉さん、ボールお願いします!」


「あ、はい!」


 松花の女子マネ泉さんの左手からトスしてもらったボールが届く先を予測しながら見極めて、ミットを素早く動かす。


 バシッ!


「今度はビシッと止めました! どうっすか!?」


「一応止まってはいるが、ミットの先が垂れ下がっちゃってるね〜。それだと低めが審判からはボールに見えちゃうよ」


「それじゃ低めでもこうやって手首を立てて捕球するってことですか? き、キツいな」


「オージロウくんは手首をもっと柔軟にして鍛えないとね」


「次のボール投げますよ!」


 ふう、なかなかうまくいかないなあ。


 フレーミングについては正直、審判の目を欺く神技テクニックみたいなワクワク感を持って練習に臨んだのだが。


 いざやってみるとむしろ基礎的で地味な技術の塊であった……ちょっとショック。


 しかし落ち込んでいるヒマなどない。次の合同練習までには手首の可動域を広げておきたいし、いろいろと課題だらけだ。


 午前中はこれを中心にみっちりキャッチャーの練習やって、結局みんながやってる連携プレー主体の守備練習に参加する余裕はなかった。


 ワイワイ楽しそうだな……って傍から見るのと実際にやるのでは受け取り方が違うかも知れんが。


 それにしても合宿中はいつもより腹減るな……昼食のカレーを2回お代わりしてお腹いっぱい。


 さて、午後はブロッキング練習を中心に行う。


 オレ以外のメンバーは様々なケースを想定した実戦的バッティング練習で、マウンド上には手動式の小型ピッチングマシンが運び込まれている。


 ちなみに多岐川には自動のホイール式マシンもあるらしいが2年前に故障して以来使えず、予算不足で買い直す事もできないんだとか。


 どこも大変なんだな……それはともかく少しでも早く合流してオレもマシンのボールを打ち込みたい。


 だがオレのささやかな希望が今まさに砕かれようとしている。


「上中野監督! そ、そのカゴの中身は!?」


「1つにボール100個程入っているから、2つで200個かな?」


「ま、まさか……」


「ブロッキングは数こなしてカラダで覚えてナンボさね! というわけでこれが今日のノルマだから!」


「ま、マジっすか!」


 簡単に200個のボールで練習って言うけど、プロテクターしててもやっぱり痛いし膝を落としたり上げたりの繰り返しでキツいのに、そんな数やってられるか!


 というかさっきのセリフ、どこかで聞き覚えが……。


 そうだ! オレとしょーたが姉ちゃん作成の練習メニューで初めて練習した時に、素振りのことで姉ちゃんが似たようなこと言ってたのを思い出した!


 姉ちゃんと上中野監督、このスパルタっぷりといい実は似たもの同士なのかもしれん。


 などと考えていると監督からの一喝が!


「いつまでブツブツ言ってるんだい! 早速始めるから構えな!」


「は、はいー!」


「膝を落とすのが遅い! 腰が高い! 背筋は伸ばさず丸める!」


「ひええ〜!」


 まあ、なんだかんだいってペースはゆっくりめにしてくれているけど、それでもやっぱり痛くてキツい!



「アタシもさすがに疲れてきた。ちょっと休憩してくるから、泉が続きやっといて!」


「あ、はい!」


 ボールを投げるのが泉さんに交代か。オレも休憩できるかなと思ったが甘かった。


 やれやれと構え直そうとすると泉さんがなにやら近づいてくる。


 そして顔を接近させてきて……おいおい!


 だが最終的に彼女は口元をオレの耳に寄せてささやいたのだ。


「あの。少しばかり数を誤魔化しましょうか? ちょっと休憩したいですよね」


 おおっ、気遣ってくれている! これはもしかして!


 っていくらなんでもこれで勘違いするようじゃ中学生男子と変わんねえよなオレ。


 それに早くブロッキングを身につけてみんなと一緒に守備練習できるようにならねーとな。


「オレなら大丈夫、今ので休憩になった。だから続けてくれ泉さん!」


「……わかった。では遠慮なく続けるね」


「おうよ、さあ来い!」


「100個目までいったら休憩しましょう、それまで頑張って!」


 ええっ! まだ半分もいってなかったの?


 いやいや、たっぷり練習できて早く習得できると考えればいいんだ。


「それじゃ頼むよ泉さん!」


「うん! そうそう、ちゃんと腰を落として胸でボールを下に落として! 少しずつ上達してる!」


「ありがとう! どんどん投げてくれ!」



「お疲れさん! 今日は頑張った! 練習始めた時より動作が機敏で腰もキッチリ落とせるようになってるよ!」


「あ、ありがとうございます監督」


「今日はちょっと早いけどもう上がっていいよ」


 ブロッキングだけでなくキャッチャーとしての練習は全て終わったが、バッティング練習はまだ続いている。


「だけどみんなまだ」


「でもバットを握る気力もないんじゃないのかい?」


「うーん、そうですけど」


「わかったよ。じゃあちょうどいい役割がある」


 オレはピッチングマシンを操作する担当としてみんなと一緒の練習に参加した。


 今日はずっとマンツーマンでやってたけど、やっぱりみんなで集まってやるのが楽しい。


 そうして日が暮れる頃に片付けて2日目が終了した。


 今日の晩ご飯は何かな。シャワーを手短に済ませて姉ちゃんが出迎えてくれる食堂へと急ぎ足で向かった。 

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