表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
部員2名から目指す甲子園〜人数足りないなら連合チームを組めばいいじゃない〜  作者: ウエス 端
連合チーム参加編

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

31/191

第31話 連合チーム、始動!

「はーい! オージロウちゃん笑って〜?」


「オレはお遊戯会に出てる幼稚園児じゃねーんだぞ! だいたいそれ、多岐川たきがわ高校の蒼田あおた監督に送る動画の撮影だろ?」


「そのとおり。でもどうせオージロウの練習風景を撮影するんだから、成長記録としてとっておきたいじゃない?」


「いやいや! 高校生にもなってそんなものいらねーって! 淡々と練習風景だけ撮って蒼田監督に送ればいいんだよ!」


「……そんなのつまんない。だいたい忙しい合間を縫って協力してあげているのに、わたしのささやかな願いも叶えてくれないなんて……お姉ちゃん悲しいっ!」


「そ、それとこれとは別だろ! それにいつも感謝はしてるよ……」


「え? 後半はなんて言ったの、聞こえな〜い! さあもう一度大きな声で!」


「あっ! やっぱりウソ泣き!」


「そんな細かいことは気にしない! さあ!」


「雛子さん……いえコーチ! それなら是非このおれ、しょーたをどの角度からでも存分に!」


「……悪いけど今、田中くんはお呼びじゃないから」


「そ、そんな〜! でもその冷たい視線がゾクゾクしてたまらないっ!」


 あーもう、これから練習ってところで騒がしすぎて疲れてきた。


 そもそも姉ちゃんが今やろうとしているのは、オレとしょーたが練習してる様子を顧問の中原先生のスマホで動画撮影する作業だ。


 これをLINEで連合チームを組む多岐川高校野球部の蒼田監督に送り、普段の練習内容のチェックと指示を受けることになっている。


 おっと言い忘れたが……我が大化おおばけ高校野球部は無事に県高野連への再加盟とオレたちの部員登録が認められたのだ。


 で、多岐川たきがわ松花まつはな高校との3校による連合チーム参加についても了承をもらった。


 もちろん実際のチーム登録は次の公式戦……来年の春季大会地区予選前に行うのだが、加盟校としてその資格があると認められたというわけだ。


 但しウチは実質的に監督不在のため、当面は蒼田監督から適切な指導を受けるという条件が内々に付けられたのである。


 説明が長くなってしまったが話を戻そう。


 姉ちゃんのヤツ、作業にかこつけて実の弟をからかって遊びやがって!


 どう言い返してやろうか……と思ったが考えつかない。そうこうしてるうちにしょーたが話題を切り替えてくれた……やれやれだぜ。


「ところでコーチ! 今日の練習内容ですけど」


「うーん……田中くんも昨日と同じメニューでお願い。今日動画を送って、明日また蒼田監督と相談することになってるから」


「……わかりました!」


 しょーたのヤツ、姉ちゃんとはもうすっかり上下関係確立しちゃったな。


 まあ本人が何故か嬉しそうにしてるから別に構わないんだけど。


 それはともかく、しょーたはこの前の『顔合わせ』で監督から指摘された弱点を解消すべく、自分から練習方法をいろいろ提案したりと非常にやる気を見せている。


 でも間違った方向へ努力しても意味がないので先に監督に相談してからということになっているのだ。


 同じ学校ならその場で済む話なのになあ……こればかりはどうしようもないけど。


「へ、へ、へックション!」


 失礼……それにしても今日は寒いなあ〜。


 まあ、もうすぐ12月中旬だもんな。


 期末テストがようやく終わって練習を再開したばかりだが、早いところ別府さんたちと合同練習やりたいぜ。


 実は再加盟承認の通知が届いたのが今月の頭で、あの『顔合わせ』の後はまだ実現していない。


 その日程は調整中だが、また一緒に練習できるのをオレたちは心待ちにしているのだ。


 それまではこのバックネット裏で頑張らないと……少なくとも今年一杯はこの場所しかない。


 というのもウチの高校のサッカー部が……なんと冬の全国選手権大会に初出場を決めたのだ!


 中でもあのキャプテンさんが県予選の得点王となる活躍だったとか。


 オレ的には、姉ちゃんが現れるとだらしなく鼻の下を伸ばす姿しか印象に残ってないけど……実は結構スゴい選手だったらしい。


 今や校内でもその話題で持ちきりだが、それは我が野球部にとっては悲報でもあった。


 サッカー部は間違いなく休みなしで活動するから、グラウンドに空きは出ないことが確定してしまったのである。


 おっと、また余談ばかりになってしまった。


 とにかく体を動かして寒さを吹き飛ばそう!



「オージロウ、あと10秒よ!」


「ひえ~! キッツー!」


「田中くんももう少し!」


「はい、コーチ!」


「……はい! 2人とも終了!」


「これホントキツいわ〜! キャッチャーの股割り練習!」


「こっちも! 体幹トレーニングをナメてた!」


 オレがやっていたのは、股割りと言って足を肩幅より広げて腰を落とし、そのまま3分キープする練習……それを5セットやったのだ。


 しょーたは、なんかよくわからんがうつむいて両肘を立てて腰を落とさないように姿勢をキープするってのをやってた。


「お疲れさん! それじゃあ、わたしはもう行くから。あとの練習も頑張って!」


 オレたちの練習を動画撮影し終えると、姉ちゃんは気忙しく校舎の方へと戻ってしまった。


 でもそれは仕方がない。


 姉ちゃんは自分で立ち上げた部活『英会話部』の部長でもあり、今日は活動日なのに時間を割いて手伝ってくれていたのだ。


 そもそも野球部員でもマネージャーでもないのに……素直に言えないけど心の中ではとても感謝してる。


 それからオレとしょーたは地面にヘタったまま休憩し、何となく喋り始めた。


「なあオージロウ。本当にこのままキャッチャーの練習続けるのかよ?」


「……しょーたはオレがキャッチャーやるの反対なのか?」


「そりゃあ、ポジション争いのライバルになるわけだから。諸手を上げて賛成とはいかねーよ」


「でも正捕手はしょーただって蒼田監督が言ってたじゃねーか」


「だけど実際問題、オージロウの強肩と打力はおれにとっては脅威でしかない」


「あのさ、オレはあくまでピッチャーが本職だから! キャッチャーはサブのポジションなんで!」


「ああ、そうだったな」


「なんだよそりゃ……でも見てろよ、絶対に先発完投できるエースになってやっから!」


「それなら、おれだってオージロウよりも打てるようになってみせる!」


「じゃあ練習を頑張らねーとな」


「だな。そろそろ次の練習メニューに移ろうか」


「おうよ!」


 普通ならドロドロした展開になりそうだったが、オレとしょーたは言いたいことを言い合ってそんなことにはならなかった。


 さあて、スッキリしたところで練習を再開するとしよう。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ