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部員2名から目指す甲子園〜人数足りないなら連合チームを組めばいいじゃない〜  作者: ウエス 端
連合チーム参加編

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第26話 攻略法

 シートバッティング1打席目、オレは大岡のスライダーの前にあえなく三振を喫した。


 だが次こそは打つ! スタンドに放り込んでやる!


 そんなことを考えながら左打席で構えようしていたところに蒼田監督が大きい声で割って入ってきた。


「大岡くん! ヘッドギア忘れてるぞ!」


「……ああ、すみません。ショートからそのまま入ったんでつい」


「石元は装着したままじゃないか! それを大岡くんに渡して!」


「忘れてました〜!」


 そうだ、石元さんを見た時になんか違和感あると思ったんだよな。それはヘッドギアを装着してたからだとようやく気づいた。


「なあしょーた、あれって着けないといけないんだっけ?」


「高校野球ではだいぶ前から打撃練習の時に装着が義務になってるよ。まあ、現場で徹底されてるかは別にして」


「ふーん。じゃあオレも必要だよな?」


「ウチはスペース的にトスをネットに打ち込むだけで、まともに打撃練習できないじゃん」


 そうだった。打撃投手が必要ない状況なんだよな、悲しいけど。


 それはともかく、ヘッドギアの受け渡しをやってる間に大岡の攻略法を考えよう。


 正確にはあのスライダーをどう打つか……さっきは見逃せばボールだったのに振らずにいられなかった。


 単なる釣り球じゃなくて左打者の内角に食い込んでくるからな……まともに打ち返すのは難しいかも。


 いっそスライダーを捨てて別の球種に絞るか。


 でも逃げたみたいでそれもシャクだしなあ。


「監督。準備できました」


「わかった。それじゃオージロウくんの2打席目からで再開と行くか!」


 考えがまとまらなかった。仕方がない、やはり決め球のスライダー狙いで行こう。


 大岡はセットポジションについて、雄叫びと共に初球をアンダースローから繰り出す。


「っらあ!」


 ん? 内角高めに浮き上がってくるボール……しかも曲がってくる!


「ストライク!」


 バシッとキャッチャーミットから甲高い捕球音が聞こえたと同時に上中野監督からコールが。


 チクショー、裏をかかれた!


 どうせカウントを取りにくるボールだろうって思ってたのに!


 というかオレが決め球狙いだとバレバレってことだ。


 その狙い球……スライダーで最初にカウント取りにくるなんて。しかも甘かったのに逃してしまった。


 次は何で来る? 甘いストライクは積極的に打ちに行ってやる。


 そして、2球目は真ん中に緩いボール!


「うりゃあ!」


 ブンッ!


「ツーストライク!」


 低めに落ちるカーブを振らされた……しょーたと大岡に手玉に取られちゃってるよクソがっ。


 こうなったら!


 ……いやいや、これで焦って打ちに行くと益々相手の思う壺だ。


 狙うのは……やっぱりあのスライダーだ。決め球打たずにどうするよ。


 でも追い込んだあとに狙われてるとわかってるボールを不用意に使ってくるかといえば、ここまでの大岡を見ればそれは無い。


 だが……おっと、既に大岡はセットで制止に入ってる。


 オレが混乱していると思ってるなら次に投げるのはアレかもな。


「っらあ!」


 雄叫びと共に投げてきたのは内角やや低めに打ち頃のボール。だが!


「ボール!」


 更に内側へキレて曲がり落ちていくボールをオレは動かずに見送った。


 もう一度カーブを振らせにきたのだ。


 あのへんのボールって左打者からするとゴルフスイングみたいに強く打ち上げたくなるんだよな。


 追い込まれてさっきと同じ球種が来れば尚更のこと……だからこそボール球を投げればいい。


 でもそれを振らなかったってことはオレが冷静にボールを見極めにきてるって伝わったはず。


 その証拠に大岡の表情が一瞬渋くなり、しょーたもなんとなく残念さが滲み出てる。


 その上で次に投げてくるのは……。


「ボール!」


 やっぱ外角に行くよね。ボールになってもいい感じで。


 高めに浮き上がってくるストレートでギリギリだったけど、ちゃんと見極められた。


 審判次第ではあったけど上中野監督のストライクゾーンもこれで分かったし。


 カウントツーボールツーストライク。


 次はストライクで勝負してくるか、もう1球あるボールを使ってくるか。


 大岡は慎重に、セットポジションで長めに静止している。


 そしてスッと身体を屈めると右腕をビュッと勢いよく振り上げた。


「っっらあ!!」


 大きな雄叫び、勝負に来た!


 内角高め……更に浮き上がって曲がってくる!


 バシィッ!!


 待ってたぜ決め球スライダー!


 そしてボールになるヤツを!


 バットに瞬間的に当てたはいいが、窮屈な姿勢のままだと力が入らない。


 オレは身体ごとコマみたいに回転させてボールを巻き込むようにしてバットを振り切る!


「うりゃああああっ!!」


 バシィーンッ!!


 ボールが高く飛んでいった時には、オレの身体はほぼ1塁側ベンチの方に向いていた。


 打球も当然ながら右に巻き込むように飛んでいったが……ところどころ塗装が剥げてるライトポールの手前ではまだフェアゾーンだ。


 ポールを巻き込むようにスタンドに入ったのが見えたが果たして……。


「ホームラン、だな。入ってたなライト!?」


「はい、ホームランでしたー!」


 蒼田監督が確認……というか野手に聞くという人数ギリギリのチームならではの光景でオレのホームランが認定された!


「いよっしゃあーー!!」


「オージロウくん! ベース回らなくていいから!」


 おっと、嬉しさのあまりホントに回りかけてしまった。


 トボトボと打席に戻る際、呆然としたしょーたの顔と滅茶苦茶悔しそうな大岡の表情が目に入った。


 なんか忘れられないくらいのものだった……大岡の内に秘めた野球への激情みたいなのが垣間見えた瞬間だった。


 さて最後の第3打席、ヤツはどう来るかな。

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