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部員2名から目指す甲子園〜人数足りないなら連合チームを組めばいいじゃない〜  作者: ウエス 端
夏の地方予選・準決勝

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第169話 データの活用と分析

「あ〜、今日も暑い〜! 身体から水分が絞り出されるみたいに汗が出てくる〜!」


 オレは3回表のピッチングを終えてベンチに戻ると、どうにもならない猛暑への不満をタラタラと言わずにいられなかった。


 言ったからといって涼しくなるわけじゃないけど……とにかく言葉を吐き出すことで少しでも体内にこもった熱を放出したい。


 そんなオレに松花高校女子マネの泉さんが、子供をあやすように必要な物のありかを指し示す。


「オージロウくん。替えのアンダーシャツ、向こうのベンチの端に置いてるから。あと、皆さんの分のドリンクもその横にまとめて」


 さすがだ、ありがてえ……と思いつつも、前回の時のように手渡ししてもらえないのが寂しい。


 でも仕方がない。泉さんはノートを見直してはそのまとめか何かを書き込んでる。


 今日の記録員としてベンチ入りしてるのだから本来の仕事ではあるのだが。


 そして古池監督から質問されると、ノートを見ながら答えている。


 準々決勝までの試合でも、ある程度の狙い球を絞ったりとかでデータを活用していたけど。


 そういえば多岐川高校の方はそのへんどうやってるんだろう?


 向こうの女子マネの仲尾さんはスタンドでの応援で、謎の制服男子が記録員としてベンチ入りしているのだ。


 見てると、制服男子の方から蒼田監督に話しかけてる。記録したデータを報告してるのか。


 蒼田監督はハッキリ言ってデータ活用は得意ではなく、あえて分類すればモチベータータイプの監督なんだけど……。


 実は彼が報告だけでなく分析して策を進言してたりして。


 いかにもデキる優等生が掛けそうなスタイリッシュなメガネと時折鋭い目つきが特徴で……って勝手な印象を当てはめ過ぎか。


 それはともかく、今のタイミングで報告してるとなるとオレのピッチング内容についてかな?


 だけど自分で言うのもなんだが、オレを分析するだけ無駄な気がする。


 なにせストレートしか投げてないし基本パワー勝負だし……策を弄したところで力負けすれば意味はない。


 などとアンダーシャツを着替えながら都合良く考えていたが、実際のところはよくわからん。


 まあ、次に投げた時に何かわかるかもな。


 それからオレたち大化おおばけ高校3人で共用として持ち込んだ小型クーラーボックス内から、水筒代わりの500ミリペットボトルを取り出して……泉さんが入れておいてくれたドリンクをゴクゴク飲み干す。


 ふーっ。生き返った気分だ。


 その間に3回裏の攻撃は既にアウト1つとなっていて、打席には9番のひょ〜ろくくんが。


 バシィッ!


「ヒットもらったです〜!」


 おおっ! 相手ピッチャー本所ほんじょのカーブを上手く拾ってセカンドの頭上を越える!


 ようやくオレ以外で初ヒット……いや。


 右中間にポトリと落ちそうな打球だったのだが、なぜかセンターがパシッとキャッチしてしまった。


 どうなってんだ……あらかじめ定位置より前でしかも右寄りに守ってたのか?


 手応えの割に結果的には平凡な外野フライとなって、シュンとなって返ってくるひょ〜ろくくんにドンマイと声をかけつつ、次の近海ちかみに期待をかける。


 そのあとはしょーた、そして次はオレ。


 上手く繋がれば、スリーランで一気に同点にできるかも……というオレの計算は皮算用に終わった。


「三遊間だっぴょ!」


 ガコーンッ!


 と、やや内角ストレートに押された打球音だが上手く三遊間を抜いていく強いゴロ!


 とこれまた思ったのだが。


「……割と余裕で捕れる」


 サードの白城さんが、あらかじめ三遊間寄りのポジション取りだった上に出足良く反応して。


 パシッとキャッチするとその勢いでファーストへ速い送球を……。


「アウト! スリーアウトチェンジ!」


「抜けたと思ったのにっぴょ〜!」


 なんかさっきからヒット性の当たりが止められてる……偶然か?


 まさか……と思い始めた考えを古池監督が言ってくれた。


「ウチのバッターたち、もう丸裸って感じだね〜。完全に思い通りに打たされてる」


 やっぱり……あの制服男子に各打者のバッティングの傾向を深く分析されているということなのか。


 それよりも気になったのは、本所のストレートの球速が149キロで、オレとの対戦で出した最速より5キロ遅かった。


 変化球のキレもそこそこだったし。


 3回表のオレとの対戦では感情丸出しでぶつかってきたのに、今は余裕の笑みって感じでベンチへ引き上げていく。


 暑いから消耗を抑えつつ効率よく打ち取る……八ツ頭学園の坂平さかひらと方向性が違うとは言え、どこのチームもそこは同じことを考えているんだ。


「オージロウ! ボーっとしてないでマウンドに行こうぜ!」


 打席から戻ってきてプロテクターを素早く装着したしょーたに促されてベンチを出る。


 まあ、オレは今さらやり方を変えられないから、今まで通りに相手バッターを抑えていくだけだ。

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