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部員2名から目指す甲子園〜人数足りないなら連合チームを組めばいいじゃない〜  作者: ウエス 端
夏の地方予選・準々決勝

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第149話 無敵モード

「ボール! カウント2−0!」


 遂に始まった八ツ頭学園との準々決勝。


 1回表から早速マウンド上の坂平さかひらと対戦しているのだが、オレのことを警戒しているのかストライクゾーンに投げてこない。


 ちなみに投げたのは打者の手前で鋭く変化するツーシームとカットボール。坂平は更に、ボールの握り方やリリースの感覚を微妙に変えて1球ごとに変化量や方向を調節してくるのだ。


 だけどオレはギリギリまで引きつけて変化を見極めてから打てる自信がある。


 そういうわけで、そろそろストライクを取りにきたところを狙い打つ。


 などと打席で考えていたら、ヤツは開き直ったかのように不敵な笑みを浮かべて話しかけてきた。


「オージロウ……やっぱりお前にこういうのは通用しないのがわかった。面倒くさいけどよぉ、最初からマジ本気を出すべきだわなぁ!」


 来るか! オレはバットを持つ両手に力を入れ直してボールを待つ。


 坂平は余裕のある表情から引き締まった顔つきへと移り、投球フォームをオーバースローに変えて力強く左腕を投げ下ろす!


「オラァッ!!」


「……」


 ズバンッ!!


「ストライク!」


 おっしゃっ! と左腕で小さくガッツポーズを作る坂平。確かに角度も球速もあって、それが外角低めに決まったのだから会心の1球だったと思う。


 だけどオレが待っているのはそういうのじゃないんだよな。


 まあ次あたりかな、それが来るのは。


「ハッハー! 次で終わりにしてやるよ〜!?」


 やっぱり早く終わらせようとしてる。だからこそ、それでキメに来るのが丸わかりだっての!


 4球目はサイドに近い角度から左腕をしならせて、指先からはビシッとボールを弾く音が聞こえる!


「オラァッ!!」


 内角……手前でこっちの胸元へ向かって来る!


「うりゃあああっ!!」


 バッシィーーン!!


 芯で捉えた……いやちょっとだけ詰まらされたかな、さすがに。


 手前で鋭く曲がるカミソリシュートを引っ張って、打球はライトポール際へと巻いていく。


 投げてくる直前に打席での立ち位置を前の方に移動して、完全に食い込まれる前のポイントで捉えたから……打球が切れなければいいんだけど。


 そうこうして一塁ベースを回ろうとしたところで塁審が腕をグルグル回しているのが見えた。


 うっしゃ! 先制ホームランだぜ!


 しかもヤツのマジ本気をいきなり叩いての。


「スゲーぞオージロウ! 今日も絶好調だー!」

「まさか、エース坂平がいきなり打たれるなんて」


 お互いのベンチからの呟きから少し間を置いて、スタンドからもどよめきが起こる。


 まあ、特に相手側の観客からすると連合チームの無名バッターにいきなりホームランとか驚きしかないよな。


 それはさておき、練習試合の時に見た軌道をイメージできたのもあるけど、今のオレはヤツに対する様々な憤りで集中力MAX状態なのだ。


 今日は全部ホームランにしてやる……それくらいの意気込みだから楽に打ち取れるとは思わない方がいい。


 ただ、坂平の表情は残念には思っているけどまだ心は折れてないというように見える。まだ他にも切り札を持っているのだろうか?


 まあなんにしても、先制点を取った以上はそれを守りきればどうということはない。


 1点リードで立ったマウンドでもオレは飛ばしまくるつもりだ。


 相手の打順は練習試合の時とは変わって1番に坂平が入っている……が、関係ないねえ。


「うりゃあああっ!!」


 ズバンッ!!


「ストライク、バッターアウト!」


 初回から三者連続三振で好スタートを切ることができた!


 全員まともに振らせなかった……ストレートがこれまでにないほど走っているのが自分でもわかる。


 これはアレだな。少年マンガの主人公みたいに怒りでパワーアップしたってやつに違いない。


「オージロウ! ちょっと飛ばし過ぎじゃないか?」


「大丈夫だってしょーた! 今のオレは無敵モードなのだ!」


 この調子で坂平に何もさせずに試合を終わらせてやる。オレを怒らせた自分の所業を後悔するがいいさ。

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