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部員2名から目指す甲子園〜人数足りないなら連合チームを組めばいいじゃない〜  作者: ウエス 端
夏の地方予選・2回戦

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135/189

第135話 スライダーでキメにいく 

 2回戦の相手、市立甘岬いちりつあまみさき高校との対戦はタイブレーク方式の延長戦に突入した。


 そして現在は一死満塁で、甘岬の中心バッターである湖岳こだけを右打席に迎えている。


 マウンドにはウチのリリーフエース大岡。そしてこのピンチでベンチから伝令が送られ、オレもマウンドへと集まっている。


「勝崎さん。監督は何を伝えに伝令を送ったんですか?」


「いや、今回は特には。まあ、ちょっと間を空けるためにかな」


「そうですよね……大岡は抑えるイメージできてる?」


「……そんなの、いつも通りに投げれば打たれやしねえ」


「まあそうだけど……じゃあいつも通り決め球はスライダーで行くぞ」


「……それでいい」


「それじゃベンチにもどるわ。あ、あと守備は内外野とも深めで。と言うのを忘れてた。あとは頼む」


 最後のはオレが言うべきところを勝崎さんが代わりに指示を出してくれた。経験不足を痛感するが、今はまずこのピンチを乗り切らねば。


 ベンチは単打で最少失点は仕方がないと判断を下した……その期待には応えたい。


 ボックスに戻って座ったオレに、湖岳は一瞥をくれるとすぐに前を向いた。さすがに緊張状態で軽口をたたく余裕は無さそうだ。


 よし、それなら。


 初球はこのボールで一発カマす!


 大岡はセットポジションから周囲のランナーを一応は見渡して……上半身を沈めて右腕を地面スレスレから鋭く振り上げる!


「……らぁ!」


「……!」


 ズバンッ!!


「ストライク!」


 おっしゃ! フロントドアで内角高めギリギリにスライダーが決まった!


 湖岳も軌道が独特なこのボールをさすがに初見では振れなかったと見える。


 さて、この調子で一気に追い込んでやる。


 2球目もこっちだ!


「……スライダーじゃない、カーブか!? るおああっ!」


 バシィッ!!


「ファウル!」


 ふう。打球は三塁側スタンドに弾丸の如く飛んでいった。


 途中までは浮き上がるカーブを同じくフロントドアで投げて惑わせ……実は見逃せばボール球だったのを振らせてファウルを打たせた。


 これでツーストライク。あと一つ振らせれば……といってもこっからが難しいんだけど。


 まあでも追い込まれたら冷静に見極められないかもしれない。


 ということで3球目はこれを要求する!


「ボール!」


 ふーっと一息つく大岡。渾身の決め球投げてきたのになあ。


 外角高めボールゾーンへと切れ込んでいくスライダーを、残念ながらあっさり見送られた。


 これはどうしよう……そうだ、まだ見せていないボールがある。それで行こう。


「ボール! カウント2−2!」


 真ん中低めから沈んでボールになるシンカーにも反応無し。


 ボールがコールされるたびに甘岬側スタンドから歓声が上がる。まずいなこのままじゃ。


 もうこれ、湖岳は完全にストライクゾーンに甘く入ってきたボールをとにかく捉えるって策だよなあ。


 それを可能にする反応とスイングの速さを持っているんだし。


 それでもこちらの思う通りに振らせて打ち取るには……そうだ、あれはまだ利用できるかも。


 サインを出すと、大岡もそれを理解してくれたようだ。


 というわけで5球目……オレは湖岳の内角にミットを構える。


 そして大岡の渾身の投球でボールが指先から弾かれた!


「……らぁ!!」


「またフロントドア……るおあああっ!!」


 バコォーーッ!!


 よっしゃあ! 大岡の浮き上がってくる高めストレート……途中まではスライダーと見分けにくいこのボールで芯を外して振らせることに成功した!


 あとは外野手が捕るだけだが……前進してこない。いやまさか。


 センターがレフト方向へやや駆け足で打球を追っていき、やがてグラブを上向きに構える。


 パシッ! とグラブに打球が収まったのはフェンスからそう離れていない地点だった。


 つまり……。


「タッチアップで1点勝ち越しぃぃ!」

「さすがは湖岳だあ!」


 最小だが失点は許してしまった。


 あんなバットの根元近くでどん詰まりした打球があそこまで飛ぶなんて……本当にとんでもない奴だ。


 そして2塁ランナーも3塁に進んでまだピンチは続く。4番の粘り強いバッター、稔田が残っているのだ。


 それにこの場面、ツーアウトだがスクイズもあるかも……。なんとしても追加点は防がねば。


 オレは内外野を一気に前に守らせることにして指示を出す。


 そして……徹底的に高めで攻め倒した。


「クソッ。高めとわかっていれば打てるっての!」


 バコンッ! とやや鈍い音で真ん中高めに入ってきたスライダーを稔田は捉えた……が、力なく上がったフライは前進守備のセンターにあっさりと捕球されてスリーアウト。


 大岡のボール……特に決め球のスライダーはそうそう外野まで運べない。でも湖岳がフェンス際まで持っていったから勘違いされちゃったんだな。


 稔田は力任せに振り抜いたせいで余計に芯で捉えられなかったのだ。


 さあ、次はオレたちの攻撃の番だ。


 そして確実にオレの打席が回ってくる。


 今度こそ甘岬高校のリリーフエース三矢のボールをスタンドに運んで、サヨナラホームランといこうじゃないの!

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