第13話 まずは再加盟から
「休部扱いじゃなくて脱退までしていたんなら……どうして先にそれを教えてくれなかったんですか!? 今まで黙ってるなんて酷いじゃないですか!」
しょーたはいつもは見せることはない激しい怒りを露わにして教頭先生に食い下がる。
そりゃあそうだよな。先に知ってたらそれなりに立ち回れたかもしれないのに、あとから不意打ちで言われるのはショックがデカい。
オレも怒りが無いと言えばウソになるけど……なんとなくこの状況を客観的に見ている自分がいることに自分でも驚く。
しょーたと違ってイチから立ち上げた訳じゃないから? よくわからんがオレまで怒りに任せて発言するのはやめておこう。
「君たちも知っての通り、中原先生は高校野球について全くご存知ないので……校内の手続きだけで『高野連への加盟』について考えが及ばなかったようだ。もちろん私の指導不足でもあり、それについてはお詫びしたい」
「謝ってもらったって!」
「落ち着けよしょーた。気持ちは分かるけど、再加盟すれば済む話だろう?」
「だけどよー!」
「オレたちだって元々は春先になってから連合チームに参加させてもらおうって思ってたんだし。とにかくサクッと再加盟してもらえればまだまだ十分余裕っしょ?」
「……あの、教頭先生。とにかく再加盟の申請をお願いしたいんすけど?」
「わかりました。こちらにも落ち度がありますし、まず私の方で県の高野連に問い合わせします。ただ……すぐに認めてもらえるかは保証できないです」
「どうしてですか?」
「まずやはり部員が少なすぎる。これ以上は集まらないのですか?」
「校内の男子生徒全員に声をかけて、入ったのはオージロウだけでした」
「そうですか。まあ、最近は部員が集まらない学校も多いし連合チームに参加する前提なら、認めてはくれるかもしれませんが。あと問題なのは指導者ですね」
「今は実質監督不在なのがマズいってことですか?」
「そういうことです。もう復活は無いだろうと思って前の監督さんには他校へ異動してもらったのに……上手くいかないですねえ」
「監督も先生じゃないとマズいんでしたっけ?」
オレは我慢しきれずに聞いてしまった。じゃあアテがあるのかと言われたら無いのだが、話を進めたかったのだ。
「いえ、部長が先生であれば外部の人でも問題ありませんが……ウチは公立校だし外から招いた実績ないですからねえ」
「……じゃあ諦めるしか」
「それはさすがに早いです。とにかくまずは高野連に相談してみますから。ところで春まで公式戦は無いのに何故今頃に連合チームの話を?」
「間際になって他校に声をかけるよりも早めに動いたほうがいいかなって。あと練習場所が」
「あれ? 全くありませんか?」
「僕らは今、バックネット裏のスペースだけで練習してます。元は野球部が使ってた場所は他の運動部が使ってるし。それで連合チームの相手方と合同練習ができたらもっと練習できるかなと思って」
「なるほど。事情と理由は分かりました。そのあたりも含めて対応を考えますので……君たちは今までどおりに校内で練習していてください。今日はこれで話を終わります」
「「よろしくお願いします」」
オレたちは職員室に入ってきた時とはうって変わり重い足取りで退出した。
しょーたはまだ納得してないみたいだが、これ以上はどうにもできないので、オレはしょーたの肩に腕を回して強引に歩き出す。
さすがに今日は練習できる精神状態になく、オレたちは早々に帰宅した。
あーあ。姉ちゃんには、なんて言おうかな。




