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部員2名から目指す甲子園〜人数足りないなら連合チームを組めばいいじゃない〜  作者: ウエス 端
夏の地方予選・2回戦

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第129話 三振を奪いに行く

「オージロウくん! 前の打席は上手く攻められたが……同じ手ならレフトスタンド……いや場外まで飛ばしちゃる!」


 6回表二死二塁のピンチで迎えたのは、甘岬あまみさき打線の中心である3番打者、湖岳こだけだ。


 オレの方が1コ下なのにちゃんとくん付けしてくれるあたり、挑発はしても根は良い人だとわかる。


 ちょっとやりにくさを感じるけど勝負は別だ。


 ちなみにここまでの対戦だが……1打席目はバックスクリーンに叩き込まれ、2打席目はセンターフライに打ち取った。


 一応、1勝1敗ってことでいいのかな。だけど三振を奪えてないから、オレの気分としては負けている。


 というわけでそろそろ三振で仕留めたい。


 2打席目は内角高めを攻め倒してようやくアウトにしたのだが……今回はどうしよう。


 実のところノープランなのだ。そもそも湖岳は明確に狙い球を絞ったりせず、甘いボールなら反射神経で捉えてくる。


 それを三振に仕留めるには……その反応の速さを超えるボールを投げなきゃならない。


 それとも、鋭く落ちる変化球とかで反応の速さを逆手に取るか。


 まあ、オレの場合は決まってるのだが。もちろん湖岳の反応を超えてみせる!


 と言いたいところだが。マンガみたいに気合いや怒りの感情とかで戦闘力を大幅アップなんてことができれば苦労はしないのだ。


 だからこそ、精一杯考えて工夫するしかない。


 オレの最大の武器、ノビてホップする高めストレートをどうやって空振りさせるかを。


 しょーたからのサインは……というか高校野球でもピッチコム導入してくれないかな。


 そんな叶わぬ希望を抱きつつも目に入ったサインだが……その手があったか。


 というわけでセットポジションから投球モーションに入る。


 しっかりと軸足を安定させて、右足をしっかり前に向けて力強く踏み出す。


 そして身体の回転をボールの推進力に変えるべく、腰から指先まで力を伝えるように連動しながら集中して。


 最後にビシィッ! とボールを放つ!


「うりゃあああっ!」


「意表を突いたつもりかぁ! るおあああっ!」


 ズバンッ!!


「ストライク!」


「ど、ど真ん中から高めのストライクに変わってる、だと!?」


 オレの最大の武器を、MAX状態で放つ!


 出し惜しみして抑えられる相手じゃない。初球でカマして、あとはそれを続けられるか、だ!


 とは言え、さすがに同じコースばかりでは軌道に慣れてしまう。


 これまでの対戦でわかったのは……湖岳が最も得意なのは真ん中から外の高め。


 恐らく、湖岳にとってはスイングする時に肘とかバットの角度をあまり気にせず振り抜けるのだろう。


 つまり最速でスイングできる場所……だから余裕を持って見極められるし、バックスクリーンにホームランが多い。


 次は内角低め。こちらは肘をたたむけど、身体に巻きつけるようにアッパースイングするのは直感的にバットを出しやすい。


 その次は真ん中、というか甘いコース全般。


 だけど今一番意識がいってるのは内角高め……それ以外で、なおかつ高めを反射的に振らせないように投げ込んでいく!


 2球目は、ここだ!


「うりゃあああっ!」


「外角ベルトの高さ……ここからホップしてくるんだな! るおあああっ!」


 ズバンッ!!


「ストライク! カウント0−2!」


「しまった! ボール球を振らされてる!」


 その通り。初球よりさらにホップさせてノビたからバットがボールの下を通過していった。


 だがこれくらいが限界かな。だからこそ、次のボールで決めにいく……!


 湖岳は何回かバットを振りながら足元を踏み直し、あたかもクラウチングスタートで最大限早くスタートを切ろうとする短距離100メートル走選手のように全神経を研ぎ澄ませている。


 お互いにこれが勝負だと分かっているのだ。


 というわけで、安定した軸足から右足を踏み出し、そこから全集中して指先から最大限の力をボールに伝える!


「うりゃあああっ!!」


「内角、高め……るおああああっ!!」


 ズバーンッ!!


「ストライク! バッターアウト!」


「バカな……ここに、全神経を研ぎ澄ませていたのに、どうして」


 ボールは内角高め……ストライクゾーンギリギリの位置でしょーたのミットに収まっていた。


「うおおおおおーっ!! 遂に湖岳を三振に仕留めた!」

「すごすぎるぞ、オージロウー!!」

「な、なんで湖岳さんがああも簡単に……!」


 両軍ベンチから悲喜こもごもの叫びが聞こえてくる。


 だけど一つ言えるのは、決して簡単に三振を奪ったのではないということ。


 特に最後のボールはものすごく疲れた。


 ほんの少しだけカッター成分を織り交ぜたボールは、程よくホップ成分を抑えてノビていき、そして打者の手前で僅かに曲がった。


 要するに真っスラを最大限のスピードで投げただけなのだが……それまでと違う軌道にバットのスイングが追いつかなかったのだ。


 ふう。まさかシュート回転対策がこんな形で生かせるとはな。


 さあ、今度はこっちの番だぜ!

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