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部員2名から目指す甲子園〜人数足りないなら連合チームを組めばいいじゃない〜  作者: ウエス 端
夏の地方予選・2回戦

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124/194

第124話 競演

「ストライク! バッターアウト!」


「ひいい……噂以上にとんでもないボールだぜこりゃ」


 市立甘岬いちりつあまみさき高校との2回戦が開始して早々、オレは相手の1番、2番打者から連続三振を奪った。


 だがホッとしてはいられない。続いて右打席に入ってきたのが3番の湖岳こだけ。強打の大型ショートとして県内でも指折りのホームランバッターだ。


 打席ではスッと構えているが、バットは立て気味でリズムを取るように小さく揺らしている。


 スキが有るような無いような……そんな雰囲気を漂わせつつ、オレに挑発の言葉をぶつけてくる。


「さあ! 今日もバックスクリーンに一発カマしちゃる! どっからでも来いや!」


 試合前は丁寧に挨拶してくれたが、打席に立つとアグレッシブになるようだ。


 そして前の試合から2打席連続ホームランを継続中で、当然ここで3打席連続を狙ってくるはず。


 しょーたから聞いた情報では……本人が言ったとおりに豪快なスイングでセンター方向、つまりバックスクリーンに叩き込むのが得意らしい。


 となると、やっぱり真ん中から外を打つのが上手いのかな? 内角は引っ張りたくなるのが長距離打者の性というもの。


 というわけでこっちもいきなりカマすぜ!


 初球は内角高めストレート!


「うりゃああっ!」


「るおああっ!!」


 ズバンッ!


「ストライク!」


 ひえ〜! 空振りさせたとはいえ、まさにフルスイングでブオンッ!! って唸るような風切り音が聞こえてきた。


 しかもとんでもないスイングスピードでブン回して、フォロースルーは完全に3塁側ベンチの方まで身体が向いてしまうほどに。


 ボールはキャッチャーミットへ収まったが、バットに当たってたらと思うと……。


 うーん、どうしようかな。同じコースを続けるのは危険だな……だけど、どのコースに投げるのが良いのやら。


 あまり迷うのも良くない。ここは思い切って攻め込もう。


 2球目は内角ベルト付近をえぐる!


 スリークォーターのフォームで、クロスの角度を意識して……。


「うりゃああっ!」


「……るおあっ!!」


 バシィーッ!!


 嘘だろ!? かなり手元でバットが出てきたってのに、芯を食った音でレフト方向に……。


「ファウル!」


「引っ張り過ぎたかぁ〜!」


 というよりかはスイングスピードが速すぎてレフト方向へ弾き返したって感じだな。


 まあでも追い込んだわけだし、これだけ振り回すバッターなら、あとはボール球を振らせるだけだ。


 というわけで間を置かずに3球目を投げる!


「うりゃああっ!」


 ズバンッ!!


「ボール! カウント1−2!」


 クソッ。真ん中高めの釣り球に全く反応しなかった。


 どうしよう。このまま高めで勝負を続けるべきか……しょーたはどうする気だ?


 ここで示されたサインは外角低め。


 まあそうだな。無難だし、また高めで勝負するにしても相手の視線を動かしておこう。


 4球目はコーナーギリギリを突く外角低め。もちろん見逃しで三振してくれたら御の字だ。


「うりゃああっ!」


「そこはちょうど届く! るおああっ!!」


 バシィーーンッ!!


 やられた……もう、打たれた瞬間にわかった。


 迷いなく振り切られたバットからあっという間にセンターの頭上へと高い弾道でボールが飛んでいって……。


「いよっしゃあ! 先制ホームランだあ!」


 相手ベンチから弾んだ声が聞こえてくる。バックスクリーンへ飛び込む見事なホームランだった。


 そして前の試合から継続の3打席連続ホームランを目の前で許してしまった。


 あのコースをあんな打球で飛ばされたのは津々木マイク以来かな。ヤツは得意コースを待ち構えての打球だったが……。


 湖岳は特に外角低めを待ってはいなかったと思う。というか、どう見ても『ストライクゾーンに来たらとにかくフルスイングで振り切る』というシンプルだけど難しいことを自然にやってる。


 次以降の打席でも苦労しそうだ。


 そして続く4番キャッチャー稔田みのだにも粘られたが最後は三振に仕留めてスリーアウト。


 そこそこ球数を投げさせられた……今日は7回が目標だけどそこまで行けるかな。


 だが先のことばかり考えてもいられない。気持ちを切り替えよう。


 1回裏のウチの攻撃でまずは追いついて、できれば一気に逆転したい。


 先頭は1番のしょーたから。その後はオレ、中地さん、田白と続いていく。


 そして相手の先発は左のオーバースロー鎌刀かまと。持ち球は、確かスライダーにフォーク、ツーシームだったかな。


 投球フォームもオーソドックスだし、尖った特徴はないけど……ストレートは150キロくらい有りそうで、簡単には打てそうにない。


 そしてしょーたの打席だが……。


「ストライク! バッターアウト!」


 鎌刀はストレートを見せ球にしてスライダーでカウントを整えて、最後はフォークを振らせて三振。


 オーソドックスな配球だけど、キチンとキャッチャーの計算通りにしょーたを仕留めた。


 さて、次はオレ……打席に入る前に、トボトボと戻ってくるしょーたへ何か気がついたことは無いか聞いておこう。


「なあ、特徴とか何かわかったところある?」


「そーだな……コントロールも良い、ってところかな」


 あまりアドバイスになってないのだが。とにかくどれに狙い球を絞ろうかな。


 まあ、さっきの配球を見た限りではアレがいいかな……それに決めた。


 というわけで初球に全集中……来た!


「うりゃあああっ!」


 バシィーンッ!!


「そ、そんな……いきなり初球であのコースを」


 キャッチャーの稔田が嘆くのも無理はない。


 初球は内角ボールゾーンからストライクゾーンへと曲がっていく、フロントドアのスライダーだった。


 コントロール良く膝上のあたりに決めて、踏み込みを牽制しつつストライクを取りに行く。鎌刀にとってはそれでリズムを作っていく配球なんだと思う。


 確かに打ちにくいコースだったけど、引きつけてから全集中で良く見て振り切れたので、上手くライトポール際へと強烈なライナーを飛ばすことができた。


 というわけでお返しの同点ソロホームラン!


「いいぞオージロウ! さすがはウチの主砲だぁ!」


 少し沈んでいたベンチも盛り上がり、このまま一気に……とはいかなかった。残念ながら。


 続く中地さん、田白はあっさりと内野ゴロに仕留められた。


 鎌刀も気持ちを切り替えてキャッチャーの要求通りに打ち取っていく……派手さはないが、なかなか手強いピッチャーだと思う。


 図らずも初回からホームランの競演となったこの試合だが、恐らく乱打戦にはならないだろう。


 だからオレも負けずに甘岬打線を抑えていく。

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