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部員2名から目指す甲子園〜人数足りないなら連合チームを組めばいいじゃない〜  作者: ウエス 端
野球部始動編

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第12話 晴のち雨

「よぉ〜、野球部のお前ら! 土日に練習やってなかったから、もうケツ割ったんじゃないかって俺ら心配してたんだぜ!」


 週明けの放課後、いつものバックネット裏でストレッチを始めようとした矢先にサッカー部のキャプテンが話しかけてきた。


 まあそう思うよな……体育会系が土日に練習も試合もやらないなんてあまりないことだから。


「あの、実は顧問の先生から休日練習を禁止されて、できなかったんです」


「何だよ、そりゃあ。まあ試合に勝つことを目指してないならアリかもしれないけど。そういえばお前らんとこの監督って誰?」


「監督は実質不在です。顧問としては国語の中原先生に引き受けてもらってます」


「そういうことか……去年まで野球部の監督だった人、3月に異動したからおかしいとは思ってたんだよなー」


「というわけで、土日は当面はいないです。バックネット裏も使ってもらっていいですよ」


「あっそ。ところで俺らは毎週火曜日が休みなんで、もしここが空いてたら使ってもいいぜ。それだけ伝えたかったんだ」


「あ、ありがとうございます!」


「でも陸上部とか別のトコが使ってるかもしれんから、あとはお互いに話し合ってくれ。じゃーな!」


 意外なことを伝えられて、オレたちは顔を見合わせた。そして思わずニンマリだ。


 それにしてもあのキャプテン、これまでは高圧的でイヤな人だと思ってたけど……案外、面倒見が良い人らしい。まあ、だからこそキャプテンに選ばれてるのだろう。


 野球部再開から初めてといっていい前向きな展開だ。ここから先は全てが上手くいきそうな、そんな期待感が胸に広がる。


 おまけに今日は快晴……おかげで練習が気分良く捗る!


 いつもなら途中でダルさを感じるのに今日は夢中になってメニューを消化していく。


 最後の素振りではバットを振りながらも明日の練習に心が飛んでしまっていた。


 明日は窮屈な思いをせずにトスバッティングができる。


 状況が許せばゴロでノック、いければフライでも守備練習。


 そうだ、ベースはないけど大体の位置でベースランニングもやろう。滑って転倒だけはしないように気をつけないと。


 その分、基礎練の時間を削るけど……週に1回だからいいよね?


 でも一応は姉ちゃんに一言報告だけしておくか。



「あー。もうやる気なくした」


「仕方がないでしょう、ザーザー降りなんだから」


「昨日の天気予報では今日一日はもつって言ってたのに」


「予報なんだから外れることもあるわよ。潔く諦める!」


 せっかくの火曜日なのに……。放課後になったばかりのタイミングでこれだけの雨が降り出すなんて。


 オレは廊下の窓から外を眺めながら、たまたま通りがかった姉ちゃんに八つ当たりするしかなかった。


「仕方がない。渡り廊下と階段で筋トレでもやってやり過ごそう」


「やるのはいいけどストレッチは入念にね。その前に、丁度いい機会だから……連合チームの件、中原先生に相談してみたら? どのみち先生から相手に申し込まないといけないだろうし、手続きに時間がかかる可能性だってあるんだし」


「……そうだな。あとでしょーたと行ってくる」


「じゃあ、わたしは行くね」


 うーん。いざ中原先生に相談するとなると気が重いな。でもいつまでも避けては通れないし、しょーたと2人で意を決して職員室の扉を開ける。



「連合チーム……ですか。ちょっとよく分からないのですけど」


「とにかく、部員不足のチームが集まって1つのチームとして大会に出るんです」


「……で、どのチームというか高校と、なのですか?」


「えーと、それは……しょーたは知ってるんだろ?」


「うーん、ここで急に言われても」


「あとですね、必要な手続きとかその申請先とか費用とか、そういったことは全てわかっているのですか?」


「あの、その……そういうのは学校側で調べて全部やってくれるんじゃないんですか?」


「それは高校野球を熟知されている監督さんであれば、そうなんでしょうけど。以前から言っている通り、私は野球自体ド素人ですから」


「いやしかしですね」


「どうしましたか中原先生。生徒たちと何を揉めているのですか?」


「あっ、教頭先生。実は……」


 それからしばしの間、中原先生は教頭先生に連合チームのことで相談を受けていると伝えて、いくつか話をやりとりしていたのだが。


 途中から教頭先生の顔が渋い表情に変わり、中原先生はうつむいてしまった。そして教頭先生はおもむろに衝撃の事実をオレたちへ伝えた。


「えーとね、君たち……田中くんと山田くん。確かに校内で部活動を再開することは許可しました。だけどね、他校と連合チームを組むことはできません」


「な、なんでですか!? 連合チーム参加の条件はそんなに厳しくないはずです!」


「そういう問題ではなくて。実はわが校は……3月31日付で県高野連の加盟から脱退しているんだよ」


「「ええええええええーーーーーー!!!」」


 そ、そんな馬鹿な!


 それが本当なら、呼び方はともかく実質的には『野球同好会』でしかないってことじゃあないか!!


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