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部員2名から目指す甲子園〜人数足りないなら連合チームを組めばいいじゃない〜  作者: ウエス 端
野球部始動編

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第11話 姉弟でお買い物

「ちょっとオージロウ。なんでまだ家にいるのよ?」


「それなんだけど、実はさ」


 今日は週末の土曜日。いつもより遅めの朝食時間帯にリビングへ入ったオレの姿を見かけた姉ちゃんは、練習をサボったのではという明らかに疑いの眼差しで問いかけてきた。


 何故こうなっているのか、それを説明するためにオレは昨日の中原先生とのやりとりを全て話した。


「……そうきたか。まあ実質監督不在の状況だものねー」


「でもやっぱり酷い話だと思わないか? 顧問を引き受けたのなら責任持って休日練習に付き合ってもらわないと。何のための教師だよ?」


「アンタまでモンペみたいなこと言ってどうするのよ。この辺りではまだまだだけど、既に部活の外部委託を進めてる地域もあるし、これも時代の流れなのよ」


「だけどさー」


「いつまでもグダグダ言わないの! で、田中くんとは今日と明日をどうするか決めてるわけ?」


「しょーたが休みにしようって提案して、オレも賛同した」


「自主練はしないの?」


「お互いにそうするつもりだけど、家の中でできることなんて限られてるし。どうしようかなって」


 引っ越し前は割と都会だったが、今の住所は地方都市なので一見のどかな感じだ。


 でも休日となれば普段交通量が少ない住宅地でもそこそこ車が通りがかるし、近所の公園はガキども……もといお子様たちで一杯だ。


 なので意外と外で練習をやるのはハードルが高い。


「それじゃあさ、オージロウの練習用ユニフォームとシューズを買いに行こうよ。田中くんも誘ってさ」


「えー、めんどくさい」


「ジャージで練習を続ける方が面倒だと思うけど。それにわたしがそういうのは許しません!」


 姉ちゃんは言い出すと聞かねえからな。仕方がない、付き合ってやるか。



 オレと姉ちゃんはこの地方都市で一番人が賑わう場所……◯オンモールに自転車で来ている。スポーツ用品店がこの中にあるのだ。


「田中くん、遅いわねえ。ちゃんと連絡したの?」


「ちゃんとLINEで呼び出して応答があったよ。何やってんだ……ん? あれはっ!」


「やあ、雛子さん。あとついでにオージロウ。お待たせしました!」


「田中くん、その格好……すごい……」


「そうでしょうとも。気合い入れて取っておきのベストコーデでキメてきましたから! フォウッ!!」


 よくわからん掛け声と共にポーズをキメたしょーた。


 まあそれはともかく、ベストコーデねえ。大きめのTシャツの上にベスト、ボトムはスキニーデニム。それと何故か◯ューヨークメッ◯のキャップという組み合わせだが。


 オレはファッションのことはよくわからんが、確か最近の10代男子に流行りのコーデだっけ。でもこういうのはやっぱり似合う体型の人とそうでないのがいるわけで。


 しょーたは姉ちゃんの言葉を好意的に受け取っているようだが、姉ちゃんが言いたかったのは恐らく……!


 でもテンションマックスのところに水を差すのも悪いし、オレたちは適当に相槌を打って歩き出す。


 ところでオレをついで扱いしたことはいずれ返してやる。



「ねえ。これなんかオージロウに似合うんじゃない?」


 スポーツ用品店で練習用ユニフォームを選んでくれる姉ちゃん。だけどなあ。


「オレのブヨブヨの体型でそういうスッキリしたシルエットのは似合わねえんだよ! というかピチピチ過ぎて動きづらい」


「これが似合うように練習で引き締めればいいじゃない」


「そんなすぐにできるか!」


「でもわたしはこれが好みなのだけど」


「なんでオレのを姉ちゃんの好みで決めるんだよ!? オレは着せ替え人形じゃねえぞ!」


「昔は素直に着せ替え遊びをさせてくれたのに……わたし、寂しい」


 昔っていつのことだよ。だいたいオレのなけなしの小遣いで買うんだから、オレが納得いくやつじゃないと意味ないっての。


「あの、雛子さん。おれ、自分ではこれが似合うと思うんですけど。どうですか?」


「うん、イケると思うよ」


「あ、ありがとうございます! 雛子さんに認められたみたいで嬉しい……!」


 しょーたは喜んでるが、姉ちゃんは適当に即答しただけだと思う。なんかこうなるとしょーたがかわいそうになってきた。


 しかしオレも自分のを選ぶのに忙しく、試着で何回か合わせたあとにようやく動きやすさと値段が妥協できる一品を見つけることができた。


「姉ちゃん! シューズはランニングシューズでもいいんだよな?」


「基礎練しかやらない時はそういうのでいいと思う。でも本格的に守備と走塁の練習をやるなら練習用スパイクもあったほうがいいかも」


「あの場所じゃそんなの無理だ」


「この前も言ったけど、今のうちから連合チームへの参加に向けて動かないと。とりあえず候補の学校に声をかけて、上手くいけば先方のグラウンドで合同練習をさせてもらえるかもしれないじゃない」


「……それ、めっちゃいいアイディアじゃん!」


「おれもやる気が湧いてきた」


「田中くんはいいとして、オージロウはゴム製スパイクも買っておいたら?」


 そんなこんなで結局はなかなかの出費になってしまった……。取っておきだったお年玉の残りも使い果たしてほぼ無一文だ。来月までは買い食いもできないひもじい生活になる、トホホ。


 そのあともしょーたは野球に関係のないアパレルショップを見て回ったりと、そのはしゃぎっぷりはひどかった。


 姉ちゃんもファッションに興味のないオレを相手にするより楽しいのか、しょーたの服選びに付き合ったりとショピングを十分に楽しんでいた。


 少なくともしょーたはデート気分ってやつなのかな……オレはもう、さっさと解散して早く家に帰りたい。


 なんだかんだ2時間近くウロウロしてから、オレたちはモールをあとにすることとなった。あー、疲れた。


「雛子さん、当面の週末の自主練メニューなんですけど」


「わたしも今朝聞いたばかりだから……来週まで待ってくれる?」


「了解です! それでは月曜日にまた。オージロウも」


「はい、ではまた来週」


「それじゃーな、しょーた!」


 今日はストレッチだけやって、あとは休もう。心身共にやたらと疲労感がある。


 時には休むことも重要なのだ、うん。

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