第104話 練習試合をこなす
バシィーンッ!!
オレが放った強烈なライナー性の打球は、フェンス代わりに手作業で張っておいたネットを軽く越えていき、グラウンドの端まで飛んでようやく地面に弾んだ。
「あ、あそこまで飛ばすのかよ」
「これじゃウチのエースが自信なくしちゃうよ」
相手チームから漏れてくる声に、なんだか悪いなと思いつつも淡々とベースを回ってホームイン!
これで5−2とリードが広がり勝利は目前ってところだ。
今やっているのは練習試合で……相手は県内でシード校常連の私学、進光学院高校。
場所は埜邑工業のグラウンドを借りてやらせてもらってる。
何故連合チームが強豪校と……と思うだろうけど、実は練習試合の申し込みはかなりの数があった。春季県大会ベスト4の旧連合チームを構成していた2校が含まれているからだと思う。
だけど連合チームは地域がバラバラで集合しづらい上にまだチーム作りの途上にあるので、受けられる試合は限られている。
なので申し訳ないけどウチの都合に合う相手を選ばせてもらった。進光学院は埜邑工業から比較的近くスケジュールも合わせてくれたのだ。
余談が長くなったけど、あとは9回表を抑えれば試合終了。マウンドには大岡が既に準備してキャッチャーには勝崎さんが入った。
ちなみにオレは先発で6回無失点。中継ぎの轍くんが2回2失点。
轍くんは今のところ投球フォームで球種バレバレな件の解決ができていない。
だから今日はストレート主体で変化球は縦スラのみにして試してみたのだが、やはり途中から縦スラを見送られてカウントを悪くしたところを痛打された。
まあそれでも2失点だから上出来だと思うけど……連戦となる夏の大会では厳しいと思う。
そんなことを考えている間に相手チームの攻撃はツーアウトとなっていた。あと一つで勝利で試合終了となる。
大岡はいつも通りセットポジションから上半身を折り曲げるように沈めて雄叫びとともにラストショットを放つ!
「……らぁっ!」
右打者の内角にストレートが浮き上がるようにノビていって……。
ブンッとバットが空を切り、ズバンとキャッチャーミットにボールが収まって、三振で試合終了だ!
「やったなみんな! メッチャ気持ちのいい快勝だ!」
オレは既にベンチに引っ込んでいたので戻って来るみんなを笑顔で出迎える。まあベンチといってもグラウンドの隅に長椅子を置いてるだけなんだけど。
「オージロウよぉ! その中途半端なニヤケ顔で出迎えるのやめろよな!」
「無理せずにいつもの仏頂面でいいからさ」
そ、そんな。精一杯笑顔を振り撒いたつもりだったのに……クソッ、今度から本当に仏頂面で出迎えてやる。
それはともかくとして、全員が戻ったところでしょーたが呼びかける。
「みんな聞いてくれ! ここまで少ないながらも練習試合で連勝してきた。次が夏の地方予選前で最後の練習試合……ここまで来たら全部勝って、勢いをつけて予選に臨もう!」
「おうよ! 我らがキャプテンの言う通りで行こうぜ!」
「連合チームで初の無敗伝説目指すぞ!」
「その勢いで全国制覇だぁー!」
気が早い奴もいるけど、しょーたがチームを上手くまとめて雰囲気は最高に盛り上がっている。
このまま行けば本当に甲子園へ……!
だが、次の対戦相手……正確には2校と続けて試合するのだが、どちらも簡単ではない相手だ。
一校は多岐川高校と。
そしてもう一校は春季県大会準優勝の強豪、八ツ頭学園高校。
そしてその八ツ頭には、ひょ〜ろくくんや田白たちと同じ中学出身……そう、例の『キャプテン』がいるのだ。
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