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部員2名から目指す甲子園〜人数足りないなら連合チームを組めばいいじゃない〜  作者: ウエス 端
連合チーム再結成編

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第102話 阿戸さんと対決

「オラァッ!!」


 ガコッ!


 バットの鈍い打撃音だけ残してボールはしょーたが構えるキャッチャーミットにバシッと収まった。


「ファウルチップとはいえ初球から当ててくるとはすごいじゃないですか阿戸さん!」


「オージロウ! テメーの鼻っ柱をへし折ってやるからよぉ、せいぜい今のうちに上から喋っとけ!」


 えっ! オレは普通に褒めただけのつもりだったのに。誤解されて伝わってしまった。


 今まではあまり意識してなかったけど……本格的に言動を改めないとダメらしい。オレはみんなと仲良く野球をやりたいだけなんだ。


 だがそれはこの対決が終わってから。今はあえて悪役ムーブを通す……その方がお互いなあなあにならずに勝負できるのだ。


「さーて、次はどこに投げましょうかね〜、阿戸さ〜ん?」


「うっせーぞ! どこだろーと打ってやるからサッサと投げてこいやぁ!!」


 じゃあ行くか。


 初球は外角高め、つまり阿戸さんが最も得意な内角低めとは対極にある苦手なコースだった。


 以前の阿戸さんなら空振りしてたと思う……つまり苦手を克服しようと努力しているってことだ。


 ならば得意な方のコースはどうなのか。というわけで2球目は内角高めだ!


「うりゃあっ!」


「オラァッ!!」


 ガキィッ! と今度はキャッチャー後方へと鋭い打球が飛んでいった。


「ちくしょう〜、もう少しズレてりゃなあ!」


 悔しがる阿戸さん。そしてそれは負け惜しみではなく的を得る言葉だった。


 タイミングは完全に合ってたし、力負けしたポップフライじゃなかった。芯にさえ当たっていれば……。


 オレは力勝負を挑みたくなってきた……のだが全員を三球三振にすると宣言した手前、ここはそれを我慢するしかない。


 というわけで3球目は阿戸さんの急所を狙う。


 得意の内角低めから幾分か内側にボールゾーンへと投げる。阿戸さんは見極められずにここを空振りしてしまうのだ。


「三球三振もらいます! うりゃああっ!」


「……いつまでもそんな手が通じる程、俺は間抜けじゃねえんだよ! オラァッ!!!」


 グワガッシィーン!!


 ば、バカな! 変な打球音を響かせながらレフト方向へと大飛球が!


 阿戸さんはボール球を綺麗に捉えたのだ。でもそれは悪球打ちとかじゃなくて今までと違う内角のさばき方へと進化した姿だった。


 これまで阿戸さんは上半身主導でカチ上げるように打ち上げるただのアッパースイングだったのだが。


 今回は下半身を使って、グリップとヘッドがより身体の近くを通るようにスイングを改良して……。


 内角低めであれば多少ストライクゾーンを外れても捉えられるスイング軌道と速さを手に入れていたのだ。


 ヤバいな、本当に柵越えされそうな……いやそうでもないか。


 勢い良く放物線を描いて飛んでいった打球だったが、途中から失速し始めて結局はレフトフライに終わった。


 グラブにボールが収まるのを待って阿戸さんは大声で嘆く。


「手の痺れが収まらねーぜ……僅かに芯を外したか。あ〜惜しかった!」


 それでも100メートル近く、球場ならフェンスにもう少しというところまでは飛ばされたのだ。本当にヒヤッとさせられたよ。


「ふう、これで全員アウト……いや、三振に取れなかったからオレの負けだ」


「バカ抜かせ! 力負けでアウトなんだから俺の負けに決まってんだろーが!」


「いやいや、三振じゃなければオレの気がすまないですよ」


「それはこっちだってだなぁー!」


「2人共、負けを競ってどうするのさ! ここは監督として裁定する……アウトはアウト、阿戸くんの負けだ。というわけでラーメンはオージロウくんに……」


「いえ結構です! もう飽きた!」


「えっ! 今なんて言った。ラーメンが飽きるわけないだろ!」


「それは古池監督だけです! とにかく辞退するんで!」


「なんだとオージロウくん!」


「まあまあ。とにかくみんなバッティングの課題がわかっただろうから、目的達成ってことでお開きにしましょう」


「オレはそれでいいぜしょーた……あれ、しょーたとは勝負したっけか」


「いやおれはキャプテンとして、今回は公平な立場を守って勝負しない」


「いやいや、キャプテンとしてって言うならオージロウからヒットを打って懲らしめてくれよ」


「で、でもさ」


「そういやしょーたってオージロウと勝負したことねーだろ。せっかくだからやってみろよ!」


「阿戸さん、確かにそうですけど……」


「ここは監督として指示するよ。しょーたくんがオージロウくんのボールを打てるレベルにあるのか否かを見せてもらわないとね」


「……わかりました」


 急に実現したしょーたとの勝負。確かにいつもボールを受けてもらってるから打者として相対することがなかった。


 これはなんか、燃えてきたねえ。


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