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第二章:風のささやき
ミユキが森を歩いていると、風の音がやけに優しく聞こえた。
葉が擦れ合う音、鳥の声、水のせせらぎが、まるで言葉のようだった。
「ミユキ…ミユキ…」
「え…?」
驚いて振り返ると、小さな光の粒が風に乗って舞っていた。
それは自然界に生きる“精界の民”――風の精霊・リリスだった。
「ようやく聞こえたのね。私たち、ずっとそばにいたのよ」
「あなたが…風の…?」
「うん。あなたが心を開いたから、ようやく声が届いたの。今、月が動き、私たちも目を覚ました。次は…太陽の目覚め」