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ダークガーネット 〜滅びゆく王国編〜  作者: 柴犬
第一章 戦いの後日譚
3/9

第三話 決戦の後Ⅲ

シュバルツは「うーん」と伸びをしながら街へと出た。

かなり寝たらしく、もう時間はお昼時らしい。


クロイツェンは冒険者の街というのもあり、防具や武器を身につけた人で賑わっている。


先ほど宿に貼ってあった地図を見て知ったのだが、このクロイツェンの街外れには無数の小さなダンジョンが散在しているらしく、それが冒険者たちを呼び寄せているのだとか。



シュバルツは宿で貰った地図を見る。向かっているのは「マーケット」と呼ばれる商業エリアだった。


クロイツェンのマーケットでは、冒険者が各地で手に入れたレアアイテムの他、剣や防具などの装備、魔導書まで売られている。そして、特定の場所ではアイテムの買い取りまでやっているそうで、特に最近トレンドの魔導書や「モンスターパール」が高値で取引されるらしい。


「モンスターパール」とは、ほとんどの魔物の額についている宝石のようなもので、魔物が倒された際にドロップするアイテムの1つだ。

モンスターの魂と言われているが、実際魔物にとってどのような存在なのかは解明されていない。


シュバルツ自身もパールは高く売れると知っていたため、クロイツェンに来る道中で倒した魔物のドロップしたモンスターパールは集めるようにしていた。



「マーケットの場所は…」と地図で経路をたどっていると、唐突に右から声をかけられた。


「シュバルツ君、みーつけた」

聞き馴染みのある声のした方を見ると、そこには重そうな鎧を全身に身につけた兵士が立っていた。


「何やってるんだ、あんた」

シュバルツがそう言うとヴァイザーが兜の面頬を開けて困惑した顔を見せた。


「あれ?バレちゃった?」

「声で分かった。一体何の用だ?」


ヴァイザーは暑苦しいのか顔の汗を拭いながら答える。


「ちょっと君のことが心配になってね、ずっと探してたんだ。全く二日かかったよ」

「…心配ということは遂に神々が俺を追ってきているということか?」

「いや、君のことはまだバレていないよ。ベーゼの遺体も発見されていないし」

 

「まあ見つからないだろうけどね」とベーゼは「ククク…」と笑みを浮かべた。



「じゃあ、俺はもうひとまずは安全ということか?」

「いや、そうでもないよ。彼らの目的はダークガーネットの回収だ。今、私を含め、神々がそこら中を探し回っている。もし君が持っていると彼らが知ったら、ただでは済まないだろうね」


シュバルツが黙っていると、ヴァイザーはシュバルツの肩に手を回してゲラゲラと笑った。


「そう心配しないで(笑)、ここら辺の地域は私が捜索したことになっているから、君が疑われることはまずないよ」




「…何これ?」

ヴァイザーは、ふと目についたシュバルツの持っていた袋を見た。


「モンスターパールだ。これからマーケットで売ろうと思っている」

「おお!マーケットか!私も一緒に行っていいかい?」


ヴァイザーは無邪気な子供のようにはしゃいだ。


「いやいや、無理だって。お前と一緒にいると他の神々から目をつけられかねんだろ」

「大丈夫、そのためにこれ被ってんだから」


そう言うとヴァイザーは再び面頬で顔を隠した。



ーーーマーケットーーー


「ここか」

「懐かしいねえ〜、60年くらい前に来たけど変わらないな」


マーケットは真昼ということもあり、人でいっぱいだ。


ヴァイザーは嫌がるシュバルツに構わず色々な売り物を見て回っては、買った物を自慢してきた。


よく分からない魔石に、宝石。一体何の役に立つのだ。


「これで神々に目をつけられたらお前のせいだからな?その時は道連れにしてやる」

「心配性だなあ、大丈夫だってのに…あ!これが買い取り屋じゃない?」


ヴァイザーが指差した先には一際大きな屋台があった。武器や魔物のアイテムなど、色々なアイテムが置かれている。



「これを全部売りたい。いくらだ?」


シュバルツは集めた18個のモンスターパールを並べて店主に聞いた。


「おお!お客さん!こいつはゴブリンとブラックリザードが落としたものかね?こいつは高くつくよ〜」

「本当か!」

「…うん!状態もいいし、合計7200ルビーでどうだ?」


シュバルツは予想外の価格に喜び、なぜか「少ない」と価格交渉を始めようとしたヴァイザーを黙らせて承諾した。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


「君さ〜相場知らんでしょ?あんな価格ぼったくりだよ?」

「うるせえ、俺はこの二日間650ルビーで生活してたんだぞ」


帰り道、ヴァイザーはシュバルツに殴られた右頬をさすりながら愚痴をこぼした。


「君の剣と防具も買い取ってもらえればよかったのに、私の魔法がかかっているからどこかの魔剣とかよりも高値で売れると思うよ」


シュバルツは無視してお金で膨れた財布を上機嫌に眺め、宿を目指した。






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