序章 プロローグ Side:異端な少女
———ずっと1人だった。
記憶が朧げな幼き時期も、自我が芽生えていない赤子の時も。
物心ついた時にはもう両親は蒸発しており、叔父さんに引き取られた後も、私はずっと孤独な人生を送っていた。
「なんでいこの髪、気持ち悪い!!」
「目もなんか変〜!」
「......ちょっと顔が良いからって、調子乗ってるんじゃないの?」
叔父さんの計らいで、保育園や小学校といった教育機関に身を置いたとしても、この特異な容姿故に、私はいつも除け者にされる。
私の見えている———いや、生きている世界が彼らとはあまりにも違いすぎるから、永遠と孤独がつきまとう。
例えそれで傷心していたとしても、それを受け止めようとしてくれる者は誰もいない。
家族や友達なんてものもおらず、まだ小さい時も、高校生になった今でさえ、母の兄に当たる叔父はいつも多忙だ。
でも、それに関しては仕方がない。
彼には、何よりも大事な使命がある。
それこそ、人の命をいくつも救えてしまうような使命があるんだ。
彼には小娘1人のこぼす涙になど、向き合っている時間はない。
1人の涙を切り捨て、多くの命を救う。
合理主義者のあの男ならば、きっとそんなふうに思うだろう。
......だからこそ、私は知った。
私は、永遠にひとりぼっちなのだと。
だけど......
そんな孤独で退屈な人生の中。
学園に入った私は、ほどなくしてあの組織の存在を知り———そして、彼と出会った。
「すごく、綺麗だった......と、思う」
———初めて、だった。
この異端な容姿を目の前にしてもなお、真っ直ぐと私のことを見てくれた人間は。
もちろん、その言葉が本心から出たものかは分からない。
優しい彼のことだ。
単に、気を遣って私に話を合わせてくれただけ、なんてこともあり得る。
私が超能力者じゃない以上、それを知ることだってできやしない。
......それでも、本当に嬉しかった。
照れくさそうに目を逸らす彼の様子からは、これまで感じたことのない何かを感じたから。
私のやっていることも、彼のような人間を救えているのだと、そんなふうに思えたから。
「———だというのに」
私は、彼を巻き込んでしまった。
あろうことか、優しき心を持ち、戦いの世界とは無縁だった彼を。
私自身、この学園には叔父さんへの憧れで入っただけだし、組織についても、半分はリーダーに流されて入っただけだ。
私のこの力は、類を見ないものだからと。
この力なら世界を救えると、そんな漠然的な誘い文句に、ただ乗ってしまっただけだった。
......本当、皮肉なものだ。
まさか、流された先で犯した過ちによって、戦う目的ができてしまうなんて。
本当、皮肉以外の何物でもない。
だけど———
「必ず......守る。例え、この身が砕け散ろうとも」
彼だけは、どんなことをしてでも守る。
それが、巻き込んでしまった私の責任だから。




