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第五話 コカトリスの唐揚げ

 「アニカねえ、お客さん連れてきたよ」

 

 「連れてきったってアンネったら、もう」


 中に入ると美人で赤色の羽が特徴のハーピーが唐揚げを揚げながら話してくる。


 「あれアニタねえは?」


 「いま出前に行ってる。アンナも早く接客しなさい」


 「は~い」


 そういってそそくさと奥に行ったアンネ。元気だなぁ。


 「すいません、あの娘が無理やり連れてきたんならお食事しないで大丈夫ですよ」


 「いえ、自分もちょうどお腹が減ってるので」


 実を言うと少しここからでようかなと思ったりしてたのはあるが……

 

 ジューッ ジュワジュジュワジュワワ……


 唐揚げを揚げるサウンド、この香り、油から引き上げるてきかくなタイミングの良さ、色、今ならわかる。ここはドンピシャの店だ。


 「ありがとうございます、そちらのカウンターの一番奥に座ってくれますか?」


 そういわれてカウンターの一番奥に座る。


 「こちらメニューです。それではゆっくり」


 接客用のエプロンを着たアンネがメニューを渡してくれた。ああいう接客が好きなお客は多いだろう。

 

 さてと、メニューは意外と多いな。


 定番もも肉ジューシー唐揚げ

 ムネ肉の唐揚げぼんじりの唐揚げ

 塩ニンニク唐揚げ

 手羽先(甘辛ダレ)

 手羽先(辛タレ)

 南蛮唐揚げ

 タレ唐揚げ(甘辛ダレ)

 タレ唐揚げ(辛ダレ)


 このあたり考えてみるか。メニューや回りを確認したけど盛り合わせ的なものはないしな。厳密にあるが持ち帰りの3人前からとか定食になる。しゃあない、とりあえず定番モモ肉ジューシー唐揚げは確定。ぼんじりは脂が好きだが今回はパス。あと手羽先は辛ダレだな。いや甘辛ダレも捨てがたい。タレは手羽先とタレ唐揚げは同じなのか? そして南蛮もなぁ、いいんだよなぁ。おっ、後ろのページに何かあるぞ。


 って何!? コカトリスの唐揚げだと!? 聞いたことない。金額は一回り割高ではあるか。んでも気になる。あれか? ハーピーパターンでコカトリスが揚げてる‥‥てことはないよね。分からないときは聞く。それが大事で基本だ。


 「すいません」


 「はい!! おきまりでしょうか?」


 「定番もも肉ジューシー唐揚げをお願いします。あと手羽先とつけダレ唐揚げの味は一緒なんでしょうか?」

 

 「そうですね。私は手羽先は甘辛ダレ、つけダレ唐揚げは辛ダレがおすすめです」


 オッケー。おすすめも聞けたのは大きい収穫。


 「じゃあ手羽先は甘ダレ、つけダレ唐揚げは辛タレを下さい。あとコカトリスの唐揚げってのは普通の唐揚げとはどこか違いとかあります?」


 「コカトリスの肉はなんといいますか、魚と鶏肉をとか足して割った感覚に近いかもしれませんね。ただクセとかなくてジューシーなのに油がさっぱりしますよ。大きさは普通の唐揚げの二倍ぐらい大きいので複数個頼まないほうがいいかもしれませんね」


 「じゃあそれも追加でお願いします。個数はコカトリスを唐揚げ一個。後は全て三個ずつで。あとはエールを特大でお願いします」

 

 「かしこまりました。それでは少々お待ち下さいね」


 まあこんな感じか。それにしてもコカトリス唐揚げ。魚と肉を足した感じ。ちょっと楽しみ。


 「お待たせしました。こちら唐揚げの盛り合わせ八人前とごはん特大大盛りセットでーす」

 

 「おお、待ちくたびれたよ!!」


 あの大きな斧を持った大柄の男、あの量を食べるのか。唐揚げもごはんもなんか山積みになってる。すげえな…… 唐揚げも一つ一つのサイズが物凄く大きい。


 「お待たせしました。こちらエールの特大です。唐揚げは出来立てをご用意するので、もう少々お待ちくださいね!!」


 うむ、まずはビールだ。


 ゴクゴクゴクゴクゴクゴク……プッヘェェェ!!


 はい美味しい、いつもどおり、エール美味しい。それしか言えないけどそれで十分。


 「ただいま、配達終わった」


 「お帰り、次これを西側にあるギルドのレッドスティールに配達お願い」


 「……ん、わかった」

 

 どうやらあの娘が次女のアニタかな。青色の羽で三女とは違いおとなしい印象だが、なんというかその大人しさが似合う美少女って感じだな。


 「お待たせしました。定番もも肉ジューシー唐揚げ、手羽先、つけダレ唐揚げです。コカトリスの唐揚げはもう少々お待ちくださいね」


 おお、どれもでかい。遠くから確認しても大きいとは思ったが、近くで見ると飛んでいないないビッグサイズ。そしてタルタルソース付き。やった大好きだぁ。どれから行こうかな? とりあえずは定番、きみに決めた!!


 「いただきます」


 ん!! 口の中にいれた瞬間カリッという音がした。肉は柔らかくそして口の中ににんにくとショウガの風味が広がり、肉汁が溢れ出る。べっとりしてなく、サクッとジューシー。そして皮の部分も下処理はちゃんとしてるな。後味もいい。油を切りもできている。肉をかみしめるたびに鶏肉のうまさが口の中で広がっている。


 お次は横に備え付けているタルタルソースを楽しむか。


 おっピクルスが大きめザク切りだ。シャキシャキ感も強い。卵も大きめに切ってあって具だくさんだ。そしてこのマヨネーズと酸味もとても美味しい。唐揚げ以外にも合うだろなこれ。いや揚げ物全般にあうなこれは。タシャキシャキ感と具だくさんのタルタルソースを作ったお姉さん、あなたは偉大だ。


 次はつけダレ唐揚げだ。見た目は結構赤く、辛そうな外見だな。ただどこか甘い香りも漂うタレにからんだ唐揚げは食欲をそそる。


 あっ意外と結構甘い、いやあとから辛さが追ってきた。でもこの味付けは子供が好きそうな気がする、この甘さは水あめ、いやはちみつか? ごはんが進むやつだ。


 次はつけダレ唐揚げ、見た目が真っ赤。凄い色してる。覚悟をせねば。


 口に入れると皮がパリッとした瞬間鶏肉のうまみが広がるな。噛むたびパリパリと音がするのっていいよなって辛いな!! 衣と肉にしみ込ませた唐辛子の辛さが襲ってきやがった。 ビールビール!! 


 あまりの辛さに急いでビールを飲む。だが同時に箸が手羽先に向かっているのだ。


 なんでこんなに辛いのに、早く食べたくなるんだ!! なんで口の中が寂しくなるんだ。けどこの手羽先が好き。手羽先の骨をとことん食べつくして身がなくなってもしゃぶってしまうほど大好き。っと来たな、あれか。

 

 「お待たせしました!! こちらコカトリスの唐揚げです!!」


 運ばれてきた肉は普通の唐揚げの二倍、いや三倍近い大きさで四角い形をしている、そして非常に重量を感じる唐揚げ。まるでレンガみたいな感じだ。どうするこれ? ナイフで切るか? いや、男らしくそのままかじるか。でも重量あるなこれ。ショートソードぐらいあるんじゃないか? まあいい無理やり持ち上げて……


 なんだこの感触。最初は白身魚のようなほぐれ方してるのに味は鶏肉、そして大量に肉汁が出るのにスッキリした味わい。美味しい。なんというかうまくことばではだせないけど、上級な鶏肉って感じ。こんなにうまいとは。いや、ここの唐揚げは全てあたりだ。


 あれからしばらくすると大きい唐揚げが一つ一つ消えていく。ビールという原料を定期的に取り入れ動力に変換する。必然的にビールはお代わりするはめになり、気づいたらビールジョッキを四回、店員さんに手渡して貰っている。タルタルソースは多めにつけ、時には備えつけのレモンをかけすぎないよう慎重につける。そうこう楽しんでいるうちに気づいたら、皿の上はなくなり、お腹も膨れた。


 美味しかった。もう食えないのにまだ食べ続けたい。そんな感じに陥る感覚になるな。会計しないと、また頼んでしまいそう。早く帰ろう。

 

 「すいません、お勘定をお願い致します」

 

 「は~い、唐揚げ美味しかったんですね、笑顔になりながら食べてしましたよ」


 「アハハハ、でも大変美味しくいただけました」


 おっと顔に出てたか。だがどんなギャンブラーなポーカーフェイスでも顔にでてしまうだろう。そして料理もいいが三姉妹の皆さんにも元気が貰えた。そんな気がする。


 「ありがとうございました」


 元気な声を後ろから耳で聞き出入口からでる。するとすぐ目の前にアニタが入ろうとして入口の前にいた。危うくぶつかりそこなる。

 

 「おっと、すいません」


 「さっき中にいたお客さんですね、またお越しください」


 ぺこりとお辞儀をして店の中に入っていった。とても落ち着いた感じなのに不意に見せた笑顔がとてもかわいい。


 決めた。またここにこよう。疲れた時に俺はあの三姉妹に癒してもらおう。


 ゆっくりと宿に帰っていった。

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