哀愁の黒コート
何故だ。あの3枚のイラストを見て、こんな話を思い浮かぶなんて。
しかも全部続いてるし。いや、ほんと、企画主さん、ごめんなさい。
桜が舞い落ちる公園の門の前では、妙齢の女性と黒いロングコートの男が話をしていた。
「やっぱりダメなのね」
「あぁ、残念だ」
「その黒いロングコートを、ガバっと開けて見せつける瞬間を想像してみても?」
「……だめだ。全然、反応がない」
「私が見てあげるから、ホラッほら」
「よっ、よせ」
妙齢の女性は、男の黒いロングコートの前合わせをガバチョ・ガバチョと開け閉めする。
黒いロングコートの中、男は全裸だった。靴は履いているが。
「股間のモノは、ピクリともしないわね」
「ああ……もぅ駄目だ」
「EDに効く、いい薬があるから、処方してもらう?」
「いや、俺の年齢で、オクスリの力を借りるのはどうかと」
「じゃぁ、どうするのよ!使いモノにならないじゃない」
女性は少し声を荒けた。
悔しそうな表情の男が答える。
「少し一人にさせてくれないか……」
「わかったわ」
妙齢の女性は、黒いロングコートの男から離れていった。
桜の舞い散る公園で、黒いロングコートの男が一人、ぼんやりと立っている。
たつことのない自身の股間を思い悩んで。
すると、なんとっ更なる不幸が彼に襲い掛かった。
「そこの君、もう桜の季節なのに、暑そうなコートを着てどうした?」
「じゅ、巡査長っ。ロングコートの裾から、すね毛が見えています」
黒いロングコートの男は、走って逃げようとする……が、普段から訓練を受けている警察官に、アッサリとつかまり、男のコートがはだけたのだった。
「……全裸コートの変質者、確保」
「巡査長、これで職質のノルマ達成ですね~♪」
捕まった男は抗弁する。
「違う、俺はちがうんだ」
「何が違うのか?全裸コートの露出狂だろう。署で話を聞こうか」
「おそらく、おっ勃て派でなく、ブランブラン派ですね」
その言葉に捕まった男は、声を荒げた。
「俺は、全裸コートおっ勃て派なんだ。ブランブラン派などと言わないでくれ」
「はぁ?ブランブランさせてて何を言うか?どうせ、『ありのままの姿を~自然体を~』とか言ってるんだろ」
「なんという屈辱。全裸コートの露出は、おっ勃ててナンボ、ビクンビクン脈打ってナンボ、それがロマンだというのに……嗚呼」
「とりあえず、連行する」
傷心の男は、さらに信念すらも間違えて理解され、警察官二人に連れていかれた。
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そのころ男の連行現場から、すこし離れた桜の木の下では、現場を見ていた少年と少女が話をしていた。
「あらっ師匠のパートナーが、警察に連れていかれたわ」
「多分、スネ毛が見つかったんだろうね。せめて靴下を履いてたら、バレにくいのに」
「その点、貴方はぬかりないわね。靴下用糊でズボンの裾代わりの布をふくらはぎに貼り付けているものね」
「僕は、ガバっと開けた時の快感がメインだからね。あの人みたいに、スネ毛でバレるかも?なゾクゾク感は求めていないからさ。君もそうだろ?裸ニーソでロングコートのスタイルじゃないか」
「そうね……でも、バレるかも?なゾクゾク感は、嫌いじゃないわ」
「そっか~、でも気を付けないとね」
「あんな姿を見て、こんな話をしていたら、全裸コートをしたくなったじゃないの。早く着替えにかえりましょう」
「うん、わかった。いこうか」
「それにしても。師匠がパートナーの男を置き去りにするなんてね」
「そうだね。『バカップルの野外で見せ合いっこ』を装えば、警察も注意だけですんだりするのに」
「私は、貴方を置いて行ったりしないから安心して」
「この快感の世界に僕を引きずり込んだのは君だし、よろしくたのむよ」
「えぇ、わかっているわ」
そうして、少年と少女は、服を着替えに姿を消したのだった。
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「それにしても、人間はめんどうだのぅ」
桜の木の枝にとまっている鳥が、コートの前を開いて全裸を見せつける動作のように翼をひろげながら、猫たちに声をかける。
「どうしたにゃ~」
「裸になっただけで、警察にしょっ引かれとるわぃ」
「にゃ~俺達、動物は、いつでも裸にゃ~」
「桜舞い散る春風を全裸で浴びる、この快感は捨てがたい」
「おっさん臭い話は、もういいにゃ~交尾するにゃ~」
「独り者は、そこでとまっとけにゃ~」
二匹の猫は、交わりはじめた……
「おのれ、リア充、爆発しろぉおおおおおおおお」
鳥が叫ぶ、その近くでは、師匠と呼ばれた女がつぶやいている。
「勃たない男に用は無いわ。せっかく薬の提案までしてあげたのに、断るんだから。まぁ通報して捕まったし、処分完了かな」
舞い散り落ちる桜の花びらのように、一人の男は社会的に死んだ。
(おわり)
ところで、全裸コートをやるor見るとしたら……
貴方は、おっ勃て派?ブランブラン派?
え?私?ビクンビクン全力全開!マックスパワぁあああ
かなぁ?やらないけどさ。




