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看守 1
あれからかなりの時間が経った。
香は宇春たちと分けられ、収容所にいた。独房の中でため息を吐く。
「12200番」
看守に呼ばれ、香は返事をする。
「文が届いている」
看守から手渡されたのは、小さな紙だった。宛名は、死刑執行所だった。
「えっ」
当たり前のことだ。だが、香は青ざめたまま、文を落とす。母、妹の死刑が執行されたとの通達だった。
「……」
香の様を見た看守は苦しさのあまり、顔を歪める。
○●○
翌日。
独房の中で項垂れていた香に、裁判官と看守が声をかけた。
「12200番」
「はい」
香は力なく返事を返す。
「はい」
「裁判へ向かう」
香の脇を大柄な看守が抱え、裁判所へと連れて行かれた。