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スパイの男   作者: Suzura
41/43

看守 1


あれからかなりの時間が経った。


香は宇春たちと分けられ、収容所にいた。独房の中でため息を吐く。


「12200番」


看守に呼ばれ、香は返事をする。


「文が届いている」


看守から手渡されたのは、小さな紙だった。宛名は、死刑執行所だった。


「えっ」


当たり前のことだ。だが、香は青ざめたまま、文を落とす。母、妹の死刑が執行されたとの通達だった。


「……」


香の様を見た看守は苦しさのあまり、顔を歪める。


○●○

 

翌日。


独房の中で項垂れていた香に、裁判官と看守が声をかけた。


「12200番」

「はい」


香は力なく返事を返す。


「はい」

「裁判へ向かう」


香の脇を大柄な看守が抱え、裁判所へと連れて行かれた。



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