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スパイの男   作者: Suzura
39/43

連行



「違う、話を聞いてくれ」


香は連行されながら、必死に男たちに訴えかける。目には涙が浮かんでいた。


朝明の表には、車が止まっていた。その周りには、観光客や野次馬がわらわらと集っている。


「お前の共犯者ももうすでに捕まっている」


官僚の男が言った。


「は……?」


男が車の扉を開けると、手足を拘束され、力なく笑う宇春がいた。

香は戸惑う隙も許されず、ドンと押されるように車に放り込まれる。


「おとなしくしていろ。逃げるなよ」


扉が乱暴に閉められた。


「あーあ、捕まっちゃったね」


宇春が言う。気丈にふるまっているようだが、その声はかすかに震えていた。


「ごめん、俺のせいで……」


取り返しのつかないことをした。香はガタガタと震える。


「香のせいじゃない」

「俺……、俺」

「……」


沈黙が訪れる。


「これからどうしようか」


宇春が言う。

官僚の脱国罪は、凰の司法の場で、ほぼ100パーセントの確率で有罪になる。待ち受けるのは、関係者全員、極刑の未来だ。


少しして、先ほどとは違う男が乗り込む。


「行くぞ」


車が動き出した。


「……雀静、張多も拘束した。凰国の領地に入った時、手錠をかける」

「はい」

「分かりました」

 

車は、鳳と凰の国境に差し掛かる。


「降りろ」


男に促され、香と宇春は車を降りた。目隠しをされ、手錠をかけられた。




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